居住中の家の売却と空き家の売却、税金がお得なのはどっち?

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空き家の売却と居住中の売却、同じ家でも税金が安くなる方法がある?

不動産業者で働いていると、友人や親せきから不動産に関する相談をされることがよくあります。とりわけ多いのが「売るタイミング」です。

ただ単に「不動産を高く売却したい。いつが売り時か?」との相談もありますが、親が歳をとってくると「後々相続する家をどうすればよいか?」との相談も増えてきます。

不動産の売却利益は売却価格よっても変動しますが、売却後手元に残った利益に対して課税される税金額によっても大きく変わります。

当ブログは相続に関するお悩みを解消すべく、現役の宅建業者が執筆しておりますので、今回は「後々相続する家」をどうするべきかを考えてみましょう!

【その1:居住用財産の特別控除ってなに?】

相続を考える前に、まずは居住中のお家を売却した時の税金について知っておきましょう。

家というのは人間が生活する上での基盤となる場所であり、財産の中でも特に重要視されています。

その為、所有者が現に住んでいる家(これを「居住用財産」と言います)を手放す場合は、税制上特別の優遇があります。それが「居住用財産の3,000万円特別控除」です。

不動産を売却した時に得られる利益を「譲渡所得」と言い、これが課税対象額となります。

3,000万円特別控除は、この譲渡所得が3,000万円控除される制度なのです。

「住んでいる家を手放してしまうのだから、あまり高い税金を払わせるのはかわいそうだろう」と国税庁が思ったかは分かりません。

が、住んでいる家を売却すると、課税額が3,000万円控除されると覚えておきましょう。

詳しくはこちら

No.3302 マイホームを売ったときの特例|国税庁

引用:国税庁ホームページ 

(1)居住中の定義はとは?

ところで「居住中」とは、何を基準に言うのでしょうか?

普段その家で暮らし、学校や仕事にもその家から通う。と言った、生活の基盤になっていること「居住」の定義です。

上記はごくごく当たり前のケースですが、世の中には「この場合はどうなの?」と判断に迷うケースも多々あります。

例えば、年老いた両親が老人ホームに入居した場合。この場合、生活の拠点を完全に老人ホームへ移しているのなら、自宅に「居住している」とは言えません。

同じ老人ホームでも、完全な入居ではなくショートステイやデイサービスの場合は、生活の拠点は自宅のままなので「居住している」ことになるのです。

税制改正で空き家にも特別控除が適用される!

居住財産売却時の優遇措置である3,000万円控除ですが、条件付きながら平成28年の税制改正により相続した空き家にも適用されることになりました。

これは、増え続ける空き家の対策を進める趣旨によるものだそうです。

しかもこの制度、居住用財産を売却するよりも税額がお得になるかもしれないのです!

居住財産の特別控除は1件につき3,000万円ですが、相続した空き家の控除額は3,000万円×相続人の数なのです!

例えば譲渡所得が7,000万円の家があったとします。

これを居住中に売却すると、譲渡所得7,000万円から特別控除の3,000万円が差し引かれ、課税対象額は4,000万円となります。

ところがこの家を、相続後空き家として売却すると、譲渡所得7,000万円から3,000万円×相続人の数が差し引かれます。仮に相続人が2人だとすると、7,000万円から6,000万円を引いた1,000万円が課税額となるのです。

詳しくはこちら

No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例|国税庁

まとめ

税金は、専門家じゃないと分からない難しい制度です。

でも、住んでいる家を売ると税金が優遇されるとことだけでも覚えておくと、いざという時「詳しい人に相談しよう!」という気持ちになり大損は免れるはずです。

いずれ相続する予定の不動産がある方は、早めに専門家に相談するのも有りだと思います。

不動産を相続することになった!そんな時気になる相続税の計算方法とその流れ

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不動産売却のご相談にいらっしゃるお客様の中には、相続した物件を手放したいとのケースがちょこちょこあります。

その場合によく質問されるのが、相続税のことです。

 

私のように相続する財産がない家庭は気楽なものですが、残す財産がある家庭では、相続は大きな問題です。

実家の不動産や、被相続人(亡くなった方のこと)にまとまった額の預貯金がある場合は、その資産に価値に応じて相続税が課されます。

 

詳しい額は税理士さんに相談するのが一番ですが、ここでは大まかな流れをご説明したいと思います。

 

 

【その1:相続する財産の総額を把握する】

相続する財産は、ご家庭によってさまざまです。

現金や預貯金、株式など金額が明確なものもあれば、実家の土地建物や収益物件など、すぐには金額の分からないものもあります。

 

ですが、これらの把握をしなければ、何も始まりません。億劫かもしれませんが、まずは確認しましょう。

 

不動産の価格は役所で取得できる「固定資産評価証」で確認できる場合もありますが、こちらは実際の相場とかけ離れていることも多いです。

地域によっては税額として適用できないケースもありますので、詳しく知りたい場合は、やはり税理士さんへの相談がおすすめです。

 

【その2:相続人の特定をする】

相続が発生したとき、財産の把握と同じくらい大事なのが相続人の特定です。

「残された家族が相続人」と思い込んでいる方も多いと思いますが、亡くなった方には「家族の知らない家族」がいるケースもあります。

 

少々怖い言い方ですが、相続トラブルの原因になりやすいので、ちょっとお話します。

例えばお父さんが亡くなった場合、残されたお母さんと子供が相続人になります。

ところが、実はお父さんには家族に内緒にしていた離婚歴があり、前妻との間にも子供がいる。というケースがあるのです。

 

「ウチのお父さんに限ってそんなことはない」と思う方が殆どだと思いますが、お父さんに限らず、被相続人の戸籍はちゃんとチェックしましょう。

 

ちなみに、相続財産に不動産がある場合、相続登記の必要書類として戸籍謄本の提出が求められます。

誰かが亡くなったら戸籍謄本を取得する。基本的なことなので覚えておいてください。

 

【その4:課税対象額を計算する】

課税対象とは、文字通り税金を課す対象となる財産額のことです。

その1でご説明した内容と「イコール」ではありませんのでご注意ください。

 

まず、相続税には「基礎控除額」があります。「ある一定の金額までは課税しませんよ」という意味なので、それを知らないと税額の計算が大きくズレてしまいます。

順番としては、まず基礎控除額を計算し、課税対象額を算出します。

 

(基礎控除額の計算方法)

3000万円+相続人の数×600万円=基礎控除額

 

例えば相続人が4人の場合、3000万円+4×600万円=5400万円となります。

 

(課税対象額の計算方法)

相続財産の合計金額-基礎控除額=課税対象額

 

例えは相続財産の総額が7000万円の場合で前述の基礎控除額を当てはめると、7000万円-5400万円=1600万円

となります。

 

このケースでの課税対象額は「1600万円」です。

 

【その5:相続税額を計算する】

課税対象額が分かったら、それに税率を掛けて実際の相続額が分かります。

ここで注意して欲しいのが、税率を掛けるだけではなく、さらに控除される額があることです。

この控除額は課税対象額に応じて変わるもので、その4でご説明した「基礎控除額」とは別物です。混同しがちなので気を付けてください。

 

(相続税額の計算方)

では、その4のケースでの相続税額を計算してみましょう。

課税対象額1600万円×税率15-控除額50万円=190万円となります。

 

なにも控除せずに税率だけ掛けてしまうと、相続額7000万円×税率30%=2100万円になってしまいます。その差1910万円です。

「えらいこっちゃ」です!

 

こうならないためにも、相続資産のあるご家庭は税理士さんに頼るのが無難です。

 

具体的な税率と控除額に関しては、一覧表をご確認ください。

法定相続分に応ずる取得金額 税率 控除額
1,000万円以下 10%
3,000万円以下 15% 50万円
5,000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1,700万円
3億円以下 45% 2,700万円
6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

引用:「国税庁ホームページ」

 

【相続税はいつ納めるか?相続税に納期はあるのか?】

では、相続はいつ納めればいいのでしょうか?

相続税には納期があります。「相続の開始から10ヵ月以内」に、申告と納付をしなければいけません。

つまり、被相続人が亡くなってから10ヵ月の間に前述した行程を行わなければなりません。

相続財産に不動産が含まれているなど資産価値が分かりにくいものは、専門家への早めの相談が肝になるわけです。

 

万が一、申告や納税を怠ると、延滞税が加算されてしまいます。

更に、上記の説明で出てきた各種の税額控除も受けられなくなるため、相続人の負担は益々大きくなるのです。

 

相続税は、必ず期限内に納付しましょう!

 

【まとめ】

一口に「相続税」と言っても、その計算方法や、適応される税額、控除額はさまざまです。

このブログでご紹介したのはほんのさわりの部分で、実際に計算する時には課税額に該当するもの、しないものなどの判断が難しかったりします。

何度も言いますが「ウチの相続では多少の資産がある」そう思う方は、自己判断せず、税理士さんへのご相談が無難です。

 

市町村によっては、役所で「税理士相談会」を開いていることがありますので、広報誌などをチェックしてみるのもおすすめです。

 

不動産と相続の問題を解決します!estate_diaryの相続解説ブログ。

 

 

皆さん、こんにちは!state_daiaryと申します。

 

不動産会社に勤務する四十路女子(?)です!

会社では宅建士として、お客様からお預かりした物件の売買をお手伝いしております。

 

宅建士と言ってもゴリゴリのベテランという訳ではなく、まだまだ駆け出しの未熟者、伸びしろたっぷりです。

そこで一人前の宅建士になるべく、日々の業務の合間に、勉強を兼ねてブログを書くことにしました!

 

不動産の専門家である私達宅建業者も、お客様からの個別の物件や相続に関する質問に、即答できるとは限りません。

改めて「こういう事か!」と気付づかされることも多々あります。

 

プロとして、これではいけないのではないだろうか?

いざ!と言う時に皆様の質問にお答えできるよう、もっと知識を磨く必要がある!

 

そんな気持ちに駆られて、このブログの執筆を決意しました。

不動産の専門家として必要な知識の蓄積と、お客様の不安や悩み事の解決がこのブログの目的です。

 

まずは自分で理解を深めたい事柄やお客様からいただいた質問など、身近なテーマから書いていく予定です。

 

 

estate_diaryプロフィール

 

名前:estate_diary

年齢:40代半ば

職業:不動産企業勤務 宅地建物取引士

キャリア:不動産業界4年目です!

 

オトコ勝りな性格ゆえに飛び込んだ不動産業界で、お客様のご要望にお応えすべく日々奮闘しております。

まだまだ未熟ではありますが、それでも宅建士!肩書に恥じないよう、努力と勉強の毎日であります!

 

 

estate_diaryはこんな理由で相続の勉強を始めました!

 

不動産業者と言うものは(当然ながら)不動産を扱う仕事です。

お預かりする不動産の中には、収益物件の買い替えや資産運用のための売却などもありますが、亡くなったご家族から「相続」した物件も少なからず存在します。

 

相続物件というのは親御さんから受け継ぐものが多く、売却される場合は殆どのケースで、住む人のいない「空き家」の状態です。

昔は「実家は長男が継ぐもの」という風潮も強かったのですが、現代では空き家になってしまうことも珍しくありません。

 

そうなってしまうと、空き家になった実家を、誰がどのように相続するかが問題になります。

ご家族を亡くされた後、悲しみの中進めないといけないのが相続です。

心もカラダも疲れ果て、結局出た答えが「残された実家の土地や建物を、兄弟でどう分けたらいいか分からない」なんてケースもしばしばです。

 

私達宅建業者は、お客様のそんなお悩みに介入するお仕事でもあります。

各家々のプライバシーにも深くかかわる以上、お客様へ何らかの解決策を提供する使命があるのです。

 

昔は不動産業者=あこぎな商売

とのイメージを持たれることも多かったようですが、現代の不動産業者は違います!

不動産取引のプロとして、お客様から信頼を得られるパートナーであることが求められます。

 

私は毎日、お客様と不動産に関するお話をしていますが、そんな日々を送るうちに

「不動産と相続は切っても切れない関係だな」と感じるようになりました。

 

しかしながら相続と言うのは、法律の教科書に載っているような「配偶者が2分の1、子が残りを均等に分けて・・・」のような、通り一遍で片付くケースはまずありません。

 各々の家庭に事情があり、各々の相続人に考えや思いがあります。

その考えや思いを汲みとり、最善の解決方法をご提案するのが私達不動産業者の役目です。

 

しかしながら、必要なタイミングで適切なアドバイスができなければ、プロとは言えません。 

そこで私estate_diaryは相続に関する事案を勉強し、知識という鎧を着て、問題解決に挑もうとの考えに至りました。

 

 

そもそも、相続って何?

 

先程から「相続」を連呼しておりますが、そもそも相続とはどんなものなのでしょうか?

簡単にご説明します。

 

相続とは親子関係や婚姻関係などの近親者が亡くなった時、残された家族が亡くなった人の財産を、分け合って受け取る制度です。

この時、財産を受け取る人を「相続人」亡くなった人を「被相続人」と言います。

 

誰が相続人に該当するかは「相続法」であらかじめ決まっているのですが、その権利を放棄することもできます。

これを「相続放棄」と言い、家庭裁判所への申し立で成立します。

 

各相続人の受け取る財産の割合も相続法で決められています。

しかしこれはあくまでも基準にすぎず、実際には「遺産分割協議」という話し合いによって決められることが殆どです。

この遺産分割協議とは、相続人全員の同意がないと成立しません。

そのため、利害が対立する相続人の間で意見の不一致が起きたりします。

俗にいう「相続でもめる」とは、遺産分割協議がで意見が割れる状態のことです。

 

 

実際に相続が発生すると、どんな知識が必要なの!?

 

相続の時に注意すべきことはいくつかあります。

 

例えば、相続財産はプラスの財産だけではないということ。

財産と言われると、ついついお金がたくさん手に入ることをイメージしてしまします。

このようにお金が増えるプラスの財産を「資産」と呼ぶのですが、残念ながら、財産の中には借金などのマイナスの財産も存在します。

これを「負債」と言います。

 

相続とは、亡くなった人の財産を包括的に承継する制度です。

つまり、プラスの財産もマイナスの財産も、全部受け継ぐことなのです。

資産は相続するけど負債はいらないから放棄する、なんてイイトコ取りは出来ませんので、ご注意ください!

 

相続でもう一つ注意して欲しいのが、相続税です。

ここでは税率については触れませんが、資産価値の高いものを相続すれば、相続税も当然上がります。

 

但し相続するものの性質によっては基礎控除などもありますので、多額の相続財産があるご家庭では、税理士さんへの相談がおすすめです。

不謹慎に思われるかもしれませんが、将来の相続税対策として、生前から税理士さんへ相談するケースもあります。

財産の種類や使用状況によっては、生前に売却した方が税金が少ないこともあるからです。

 

ちなみに「自分で築いた財産を国に納めるのが納得いかない!」と思う方もいるかもしれません。

しかし、たとえ自分で築いた財産でも、誰かの支えや犠牲の上に成り立っている場合が殆どです。

一説によると、相続の時に高い税金が課されるのは「犠牲になった誰かのために社会奉仕する」との意味合いもあるそうですよ。

 

相続財産に負債しかなく、相続放棄をしたい場合にも注意が必要です。

相続放棄には期限があります。

ご存知の方も多いかもしれませんが、相続放棄の期限は3カ月です。

ただし、その始期については誤解もあるので少し触れます。

 

相続放棄の期限は、相続人が被相続人の死亡を知った日から3ヵ月です。

被相続人が死亡した日から3ヵ月だと誤解される方もいますが、亡くなったことを知らなければ、自分が相続人になった事が分かりません。

分かりもしない相続権を放棄するなんて、現実的ではありませんよね。

従って相続放棄の期限の始期は、被相続人の死亡を知った日から3ヵ月です。

 

 このブログでお伝えしたいコト

 

ながながと思いの丈を綴ってしまいましたが、このブログのテーマは「不動産と相続に関するはてな?を解決すること」です。

不動産に関するあらゆる「分からない」を専門家として解説し、読んでくださった皆様の疑問が解決できる一助になれたらいいな。

と思っております。

 

これから不動産を購入したい方、売却したい方、ただ、ただ、不動産が好きな方など、たくさんの方に読んでいただけるブログを目指しております!