農地を相続したら知っておきたい、農地法のこと|農地法第3条とは?

 

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こんにちは!estate_diaryです。

先日は相続した農地の売却と、一般的な売買での手続きの違いについてお話ししました。

今回はその続き。

「農地法第3条」について詳しく解説したいと思います。

相続と直接関係はありませんが、相続した土地の活用法を考える上で、参考にしてください!

 

農地法ってどんな法律?

農地法とは、国民にとって必要な農業を行うための土地を、将来に渡って保護するために作られた法律です。

国土の限られた日本においては、農地を「限られた資源」と捉え、無秩序な用途変更や非効率な耕作を防ぐなどの目的があります。

 

【農地法の目的】

・利用関係の調整

・耕作者の権利取得の促進

・農地の農業上の利用の確保

・耕作者の地位の安定

・国内の農業生産の増大

・国民に対する食料の安定供給の確保

など。

 

【権利移動・転用に関する規定】

農地法の中でも第2章(第3条~第15条)は「権利移動及び転用の制限等」となっていて、売買を含む譲渡や賃貸を行う場合に関係してきます。

不動産業者が関わることが特に多いのは、第3条~第5条で、売買を手掛けるときには熟知しておく必要があります。

今回の記事では、第3条を取り上げていきます。

 

第3条はどんな内容なの?

農地法第3条とは農地を他人に譲渡・賃貸などして、権利を譲る際に必要な許可申請です。

権利の譲受人が農業に従事し、当該土地を農地として利用する場合に適用されます。

つまり、農地を農業従事者に譲り、農地のままで使ってもらうときに適用される法律です。

申請手続きに関する概要は、下記のとおりです。

 

【申請先】

農地の所在する市町村の農業委員会

 

【許可権者】

農地の所在する市町村の農業委員会

 

【農地の定義】

「耕作の目的に供される土地」と定義されており、登記簿上の地目によって判定されるものではありません。

しかし実際の不動産売買の現場では、現況が耕作の目的に供されていない土地でも、登記簿上で「田」や「畑」となっていれば申請を求められるケースが見られます。

現況がただの空き地に見えても、登記簿上の地目が農地である場合は農業委員会へ確認した方が無難です。

 

【現況と登記簿上の地目が異なる場合】

上記例とは少し違いますが、登記簿上の地目が農地でありながら、現況が宅地になっているケースがあります。

この場合は所有権移転登記を行う際に「農地転用受理通知書」の添付が必要です。

 

※農地法第3条は、農地を農地として利用する場合に必要な許可申請です。

そのため現況宅地の土地を譲渡後に農地として使うことは考えにくく、この項目の説明は該当しないと思われます。知識の一つとしてご理解ください。

 

【該当事案】

・所有権移転をする場合

・地上権、賃借権等の設定や移転をする場合

 

【その他、規制の適用範囲】

現況が耕作の目的に供されていない場合でも、下記の土地は農地法の規制の適用範囲となります。

・休耕地

・果樹園

・竹林の育成地

・林業種苗地

・蓮池

 

 相続との関連

通常、農地の権利に変動がある場合は、農地法による許可申請が必要です。

しかし各々の意思に基づいて行われる譲渡や賃貸借と違い、相続は譲受人の意思とは無関係に発生する権利変動です。

そのため相続で農地を取得する場合には、農地法の許可は必要ありません。

しかし相続した農地を処分する際には、農地法のお世話になるはずです。

例えば農地を農業従事者に売却し、そのまま農地として耕作に利用する場合には農地法第3条の許可が必要になってきます。

農地を相続するだけならさほど意識する必要はない農地法ですが、相続のその先に何をするかによって、必要性が出てくる知識です。

相続人が農業を営んでいる場合には農地法を熟知されているかもしれませんが、農業経験のない方なら全くご存知ない可能性もあります。

 

相続で農地を取得した場合は、専門の不動産業者に活用方法などを相談してみてはいかがでしょうか?