農地を相続したら知っておきたい、農地法のこと|農地法第4条とは?

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こんにちは。estate_diaryです。

 

数回にわたり農地を相続した方向けのお話をしております。

前回は農地法第3条のお話をしましたので、今回は農地法第4条について解説したいと思います。

「相続=農地法第4条」ではありませんが、相続した農地をどうするか検討する際の参考にしてください!

 

農地法とは?

前回もご説明しましたが、農地法とは国民の食糧調達に欠かせない農地を、将来に渡って保護するための法律です。

農地を守ることが目的であるため、無秩序な用途変更や非効率な耕作を防ぐことなどを目的としています。

 

第2章(第3条~第15条)に「権利移転及び転用の制限等」が規定されていて、売買を含む譲渡や賃貸を行う場合の許可や届け出について定められています。

その中でも第4条・第5条「用途変更」についての規定で、当該農地を農業以外の用途で使用したい場合に必要な申請です。

今回の記事では、第4条を取り上げていきます。

 

第4条の内容とは?

農地法第4条とは、所有している農地を農地以外の目的で利用するために、土地の用途変更を願い出る手続きです。

その内容には、以下のポイントがあります。

  1. 当該農地の所有者に変更がないこと
  2. 農地を農地以外の用途で利用すること
  3. 当該農地の所在場所によって「許可」または「届出」になること
  4. 申請が認められて用途変更すると、登記簿上の「地目」も変わること
  5. 用途変更工事を所有者が行う(発注する)こと

3.と4.について、詳しくご説明します。

  

[3.「許可」と「届出」の違い]

農地法では、当該農地の所在場所が「市街化調整区域」または「都市計画区域外」の場合、申請の種類は「許可」となります。

一方、当該農地が「市街化区域」に所在する場合は、申請の種類は「届出」となります。

農地転用とは農地を農地以外(建物を建てたり、駐車場や資材置き場)で利用することが目的です。

そのため、開発が前提の市街化区域に所在するのであれば、許可は不要なので「届出」でOK。

反対に無秩序な開発の抑制を目的としている市街化調整区域や、開発計画すら立てられていない都市計画区域外では「許可」がないとNG。

と理解すると分かりやすいでしょう。

 

[4.地目変更について]

土地の登記簿を見てみると「甲区」「乙区」に分かれています。

甲区には、その不動産に関する表記(所在地や面積、区分など)が記載されています。

乙区には、その不動産の権利に関する表記(所有者や取得理由、抵当権や抵当権者)が記載されています。

農地法第4条申請の後に変更される地目は甲区の記載事項なので、農地転用を行った場合は、登記簿の甲区を変更する手続きをしてください。

 

ちなみに、登記簿の乙区の申請は司法書士の業務範囲ですが、 甲区(表題部分)は土地家屋調査士の業務範囲です。

司法書士さんでは対応できませんので、依頼する際は注意しましょう!

 

第4条の申請先

農地法第4条の申請は、許可・届出ともに、当該農地を管轄する農業委員会窓口です。

届出の場合は農業委員会が受け付けから完了まで担当しますが、許可の場合は、都道府県が許可権者となります。

 

用途変更手続きの注意点

ここまで、農地法4条申請による「用途変更」についてお話ししましたが、用途変更を申請する前に注意すべき点があります。

それは、当該農地が「農業振興地域内の農地」であるか否かです。

農業振興地域は、そもそも農業以外の利用を禁止している区域です。

そのため、農業振興地域のままでは用途変更が認められることはありません。

農業振興地域内の農地を用途変更したい場合は、まず「農振除外」ができるかどうかを確認してくださいね!

 

 まとめ

農地法第4条とは、所有者は変わらず、農地を農地以外の用途に変更する手続きです。

農業振興地域内の農地などは、農地保護の観点から用途変更できない場合もあります。

もともと農業を営まれている方は農地法にもお詳しいかと思いますが、相続で農地を取得した場合などは、農地法に馴染みのない方もいらっしゃると思います。

農地の用途変更を希望する場合は、一度、専門の不動産業者へ相談してみてください!