不動産などの相続財産は養子縁組の子でも相続できる?

f:id:estate_diary:20200828105956j:plain

こんにちは!estate_diaryです。

今回の話題は「養子縁組」についてです。

相続税対策に養子を持つという話を聞いたことがありませんか?

たしかに有効ですが、際限なく養子を作っても意味がありません。

今回は、相続と養子の関係について解説します。

養子縁組とは

養子とは、養子縁組が成立した日から養親の嫡出子としての身分を取得することです。養子であっても、立場としては実子と何ら変わりはありません。

また、ひと口に養子といっても、普通養子と特別養子の2つがあります。

普通養子

養子縁組をして親子になる意思があれば成立する養子のことです。いわゆる「婿養子」や、孫を養子にする場合が該当します。

普通養子は実の親との関係はそのまま、実親と養親の2つの親子関係が成立します。

特別養子

特別養子とは、実親との親子関係を解消して養親と実の親子の関係を結ぶことです。

養親になることを望んだ夫婦が家庭裁判所に請求するため、家庭裁判所が許可すれば親子になります。

子供が虐待されていた事実や実親の経済的な困窮で育てられないといった理由があった場合に、子供の福祉の増進を目的に使われる制度です。

養子と実子の違い

実の子供から見れば、養子の方が相続で有利になると考えてしまうものです。

しかし、相続上は実子も養子も同じ順位の関係です。養子だから相続で不利になるということはないのです。

遺言等によって養子より実子の取り分が著しく多かったとしても、遺留分が認められます。

養子が相続人になる時の注意点

権利上は実子と同じ養子ですが、相続に参加するうえでは注意点があります。

養子の数には制限がある

相続には、誰でも適用できる基礎控除があります。計算式は以下のとおりです。

3,000万円+600万円×相続人の人数

養子の数が増えるほど、基礎控除は大きくなります。

しかし、養子を無条件に相続人として認めてしまうと、相続対策で養子を何人も作る人が出てくるかも知れません。

そこで、相続人としてカウントできる人数には制限があります。

実子がいない場合相続人にカウントできる養子は2人まで、実子がいる場合は1人までです。

実子ともめる可能性

養子縁組が成立していれば、実子と同じように相続する権利があります。

実子が養子縁組の存在を知らなかった場合、実子が納得できずにトラブルに発展する恐れがあります。

養子縁組をしようと考えた時は、実子が納得した上で行うことが必要です。

養子が養親より先に死亡した場合

実子が親よりも先に亡くなった場合、実子の子供(被相続人から見て孫)は代襲相続の対象です。

一方で養子の場合、養子の子供が代襲相続人になれないケースがあります。

養子縁組のあとで生まれた養子の子は代襲相続人になれますが、養子縁組の前に生まれた養子の子は、代襲相続人にはなれません。

代襲相続が発生した際に勘違いしやすいため、気を付けておきましょう。

養子縁組のメリット

養子は相続人にカウントされるため、前述のとおり基礎控除額が増えます。

そのほか、死亡保険金や生命保険の非課税枠が増える点もメリットです。

死亡退職金・生命保険の非課税枠は「500万円×相続人の数」と決められていますが、養子がいれば非課税枠が増大して節税になります。

相続人が増えれば1人当たりの取り分が減ってトラブルの種になる可能性はありますが、それでも養子になる人が増えれば節税につながるのは事実です。

養子の候補がいた場合は、じっくり家族で考えてみることをおすすめします。

まとめ

今回は、相続と養子の関係について解説しました。

養子と実子の間に権利の差はないため、養子がいれば相続税の圧縮に役立ちます。しかし、1人の取り分が減れば争いになることも考えておく必要があります。

安易に養子を迎えることがないよう、家族で話し合いましょう。