相続物件に価値のない山林があった場合は相続を放棄できる?

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こんにちは!estate_diaryです。

親世代が農業を営んでいたご家庭の場合、相続の際に山林を受け継ぐことがあります。都市部から離れた山林は買い手がつかず、毎年の固定資産税の分だけ損をしてしまう人も多いでしょう。

それでは、最初から相続しないことはできるのでしょうか。

今回は、価値のない山林の相続についてご紹介します。

山林の相続とは

相続とは「亡くなった人の財産を引き継ぐこと」です。

被相続人(亡くなった人)の財産に山林が含まれていた場合は、亡くなった人の所有権を引き継いで山林の新たな所有者になります。

山林を相続する例は、「元農家の人がかつて使っていた農地をそのまま保有していた」というのが典型例です。

ほかにも、所有していた土地が価格の暴落によって売れなくなってしまった「バブルの負の遺産」といった例もあります。

親が山林を所有していた場合、子供は原則として山林を相続します。相続人が複数いた場合は、誰が山林を相続するのか遺産分割協議を行うことが必要です。

話し合いが合意するまでは、相続人全員の「共有」とされます。

山林相続のメリット・デメリット

広大な山林を相続することに不安を感じる人も多いですが、なにもデメリットだけではありません。

山林相続のメリット・デメリットを紹介します。

メリット

山林の場所にもよりますが、有用な場所であれば林業を行っている業者などに貸し出すことで利益を得られる可能性があります。

拓けた広大な山林であれば、太陽光発電の機材を設置することもできるでしょう。日当たりのよい斜面にソーラーパネルを設置することで、都市部よりも効率的に発電できる可能性があります。

もし金銭的なメリットがなかったとしても、キャンプ場やハイキングなどの場として提供することで地域貢献にも繋がります。

デメリット

都市部から遠い山林は、売却先が少ないことが何よりのデメリットです。坪単価は都市部の土地と比べて圧倒的に低いことが多く、売却で利益を出すことは簡単ではありません。

かといって、まったく放置することもできません。

山林を放置するとどんどん荒れて利用価値が下がっていくため、自分で管理ができない場合は現役で農業などをやっている人や管理業者に管理を依頼することになります。

また、山林と言えども固定資産税が毎年発生します。相続する面積によっては家計を圧迫することもあるでしょう。

価値のある土地だけを相続することはできない

農業や林業をしていない人にとってはメリットよりも、デメリットの方が大きいことが大きいと感じるのではないでしょうか。

「できれば相続したくない・・・」と考えるのが自然かもしれません。

その場合、頭をよぎるのは「相続放棄」です。

結論をいうと「山林を相続しない選択肢」はあります。

ただし、価値のない財産だけを都合よく相続することはできません。

被相続人の財産を相続する場合、原則として価値のある財産もない財産も全てを相続することになります。

相続放棄を行えば相続しないことは可能ですが、最初から相続人でなかったものとされるため、資産価値がある土地や現金まで相続放棄しなくてはいけません。

誰かが山林を引き継ぐことになる

現金の預金や価値の高い不動産(自宅など)がある以上、全員が相続放棄することは現実的ではないでしょう。

誰かがその価値ある財産を相続することになります。つまり、相続人が何人いたとしても、誰かが価値のない財産である山林を相続するわけです。

また、価値のない土地だとしても、相続上の手続き(登記など)は絶対に必要になります。

山林相続の相続税

相続税は山林だけに限った話ではありません。遺産相続によって相続税が発生するため、税務署への申告が必要です。

相続税の申告と納税は、相続開始から10ヶ月以内に完了する必要があります。完了しない場合、無申告として追徴課税の対象です。

まとめ

今回は、山林の相続の概要について解説しました。

価値のない山林でも誰かが相続しなければならず、場合によっては固定資産税に苦しむことになります。

親世代が元気なうちから、土地の活用方法・処分方法について話し合いを進めることをおすすめします。