借地権、ってご存じでしょうか。
借地とは他人の土地を借りることです。
借地権の価格は更地価格の5~7割程度とされていて、かなり価値が高いものになります。
でも借地人が亡くなってしまったら、その借地契約自体が無くなってしまうのでは!?住んでいる私たちはどうなるの!?と思う方が多いと思います。
今回はこの借地権の相続について、書いていきたいと思います。
結論からお伝えしますが、、、
借地権も権利の一つですから、現金・預金、株式、不動産のように相続財産に含まれます。
つまり、借地契約の途中で借地人が死亡した場合には、借地人の相続人が借地権を相続することになります。
さらに、借地権を法定相続人が単純に相続する場合、相続について地主の承諾を得ることは不要です。相続がされました、と事後報告で十分です。
ですので、借地権が亡くなった借地人から相続人に相続されたことを理由に、地主が承諾料や、名義書換料を請求してきたとしても支払う必要はありません。
注意してもらいたい点としては、相続がされる借地権の契約期間についても、元の賃貸借契約のまま引き継がれるということです。
ということは、契約期間が20年で、15年が経過した時点で、借地人が亡くなった場合、相続されるのは5年の借地の契約です。
法定相続人が複数いて、借地権が複数人で相続される場合は、どうでしょうか。
この場合は借地権が細分化されてしまい、地主に不都合や不利益になることも考えられるため、承諾を得ておく方が良いでしょう。
法定相続人が、単独で相続する場合、は承諾料や名義書換料は支払わなくて良いのですが、
遺言があったりして、法定相続人以外の人が、借地権を相続するような場合は、借地権が譲渡された、と考えられるため、地主の承諾が必要になります。
この場合の流れとしては、地主に承諾を請求→地主が承諾→借地権上の建物の所有権移転登記、となります。
承諾料や名義書換料も求められるかもしれません。
もし地主から承諾が得られないような場合は、話がこじれる可能性が高いので、まずは弁護士に相談してみてください。
このような場合に、とれる手段としては、裁判所において、「地主の承諾に代わる許可の裁判」(借地借家法第19条)を起こすことです。
では逆に、地主さんが亡くなってしまった場合、借地権はどうなるでしょうか。
地主さんが亡くなると、借地権付きの土地が、地主さんの相続人に相続されます。
この際、地主としての法的地位も相続人に相続される、と考えます。
つまり、借地権契約はそのまま継続しますので、借地人の皆さまはご安心ください!
当然、地主の相続人は借地人に対して地代を請求できますので、借地人の方は地代も相続人の方に支払ってくださいね。
また、借地権の相続を受けたら、借地上の建物の登記を被相続人から相続人に移すことで、借地権自体の登記をする必要はありません。
借地上の建物の登記があれば、借地権を第三者に対抗できます(借地権者であることを主張できます。)。借地権の登記の代わりになる、ということですね(借地借家法10条1項、旧建物保護法1条)。
いかがでしたでしょうか。
借地権は場所によっては、かなり高額な価値のあるものになります。相続税のあたりも気になるところですし、相続の際に売却する、といったケースも考えられますし、論点がいろいろありそうです。
売却の際には承諾料を請求されたり、地代の値上げを要求されることもあります。
実は私の実家は、借地権付き建物なのですが、先代の地主さんと祖父が懇意にしていて、特別な契約内容を結んでいたところ、
先代が亡くなって、息子さんの代になったところ、これまでの地代分を上乗せした地代に変更したい、建て替えるのなら更新料2000万円を払え、という請求がされて困ったことがあります。
父が弁護士に相談したので事なきを得ましたが、このように借地権に関するトラブルは数多く存在すると考えられます。
そのような時はこちらの記事をご参考に、ぜひ弁護士にご相談くださいね。
最後までお読みいただきありがとうございました。