相続人がいないと相続財産はどうなる?

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2015年の国勢調査では、男性の生涯未婚率は24.2%、女性は14.9%となっています。

結婚をされていないとは配偶者や子供がいませんので、相続人は自分の親と兄弟になることはいつかご説明してきたかと思いますが、

 

もし自分の親はすでに亡くなってしまっていて、兄弟もいない一人っ子だったら、、、

相続人が全くいない方の相続はどのようになるのでしょうか。

もしその時に不動産があったら、それは誰の持ち物でもなくなってしまうのでしょうか。

 

 

 

今回は相続人がいない場合の相続について、書いていきたいと思います。

 

 

 

 

 

相続人がいないということは、一人っ子の場合だけでなく、相続人全員が死亡してしまっている場合や相続人全員が相続欠格であったりする場合もあります。

また、プラスの財産よりもマイナスの財産が多いために相続人全員が相続放棄を選択した場合も相続人がゼロということになります。

 

 

 

そのような時は、相続人ではないけれども、特別縁故者(不動産の共有者、内縁者、被相続人と生計を共にしていた人)や、債権者から「相続財産管理人の選任申立て」が家庭裁判所になされることがあります。

 

これは、相続財産を管理する者のことで、通常は弁護士などが家庭裁判所に選任されます。

相続財産管理人は、被相続人の債権者には支払いを行って、財産の精算を行います。最後に残った財産は最終的に国庫のものになります。つまり、行先のない相続財産は、最終的に、国のものになってしまうのです!

 

 

 

 

相続財産の管理人は、下記の流れで相続人や、相続債権者を探します。

 

 

①第1の公告・・・家庭裁判所が相続財産管理人を選任する旨の公告を、官報で2か月間掲示して、相続人に申し出るようにお知らせします。

この間、相続財産管理人は、相続財産の整理や、清算、弁済などの手続きを行っています。

②第2の公告・・・上記の第1の公告を経ても相続人が見つからなければ、相続財産管理人は、2か月以上の期限を定めて、債権者や受遺者(被相続人から財産を受け取る予定があった人)に請求を申し出るよう公告をします。この広告は2回目の相続人捜索の公告の意味もあります。

③第3の公告・・・相続人捜索の公告。相続財産管理人は、6か月以上の期限を定めて、相続人に自身の権利を主張するように求める公告をします。これは相続人の不存在を確定させる公告でもあります。

 

この公告期間が経過すると、相続は終了し、名乗り出なかった相続人や債権者、受遺者も今後請求する権利をなくします。

 

 

 

 

そうして、相続人の不存在が確定すると、特別縁故者(不動産の共有者、内縁者、被相続人と生計を共にしていた人)が、「財産分与請求の申立て」を家庭裁判所に申し立てることができるようになります。申立てには期限があって、相続人不存在の公告が終了してから3か月以内です。

 

 

 

家庭裁判所は、特別縁故者がどのような人なのか、分与を求める財産の内容、縁故の度合い、生活の状況などを考慮して、分与の審判もしくは申し立て却下の審判をします。

 

※ここで、私の仕事ともかかわってくるのですが、不動産の共有者は特別縁故者にあたる者がいない場合や、上記の財産分与請求の申立てが却下されたとき、共有する不動産の相続財産分を受け取ることができます!

 

 

 

 

分与の審判がされれば、相続財産管理人は、特別縁故者に財産を引き渡しますし、特別縁故者からの申立てもなく、期限の3か月が経過したときは、家庭裁判所に終了の報告書を提出して、最終的に相続財産は国のものになります。

 

 

 

 

ここまで約1年かかります!とても長いです。

それに相続財産管理人を選任するのに費用も掛かります。

特別縁故者も、財産分与請求の申立てを行わないと財産分与してもらえません。

 

 

 

 

自分の相続財産が最終的に国のものになってしまうのなら、だれかに財産を残すよう遺言書を作成することなども検討したいところです。

 

慈善団体等に寄付をする場合も遺言でできるそうです。

 

 

不動産の共有者、特別縁故者の方は上記をご参考にしていただき、ぜひ弁護士などの専門家にもご相談くださいね!