農地の相続税③農地の納税猶予の特例の手続きの流れ・必要書類

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こんにちは!estate_diaryです。

 

今回も農地の相続税についての記事を公開します。

 

今回は、農地の納税猶予の特例の手続きの流れと必要書類をご紹介をいたします。

農地の相続税について3回にわたり解説をしましたが、今回で最後になります。

 

納税猶予の特例の手続きの流れ・必要書類

実際に農地を相続した場合の納税猶予の特例の適用を受けるために、どのような手続きが必要なのでしょうか。

 

必要となる書類についても解説しながら、その流れを確認していきましょう。

 

農地の取得者を確定する

まずは、農地を相続する人を決めなければなりません。
遺産分割協議を行って農地を相続する人を確定した場合は、その内容は遺産分割協議書に明記されます。

 

もし、すべての財産について誰が相続するかを決めることができない場合は、農地だけで遺産分割協議書を作ることができます。

 

農地についての納税猶予の特例は、相続税の申告期限までに申告しなければ適用が受けられません。

 

未分割の場合でも、後から適用が受けられる配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例とは異なります。
そのため、必ず相続税の申告期限までに農地を相続する人を決定する必要があります

 

相続税の申告を行う

相続税の申告は、相続開始の翌日から10か月以内に行うこととされています。

 

納税猶予の適用を受けるには、期限内に相続税の申告書を作成し、税務署に提出する必要があります

 

納税猶予の適用を受けるためには、申告書を提出する際に、以下の書類を添付する必要があります。

 

  • 「農地等についての相続税の納税猶予の適用を受ける特例農地等の明細書」
  • 農業委員会による「相続税の納税猶予に関する適格者証明書」
  • 担保として提供する財産の明細書等
  • 特定貸付けを行っている場合は「相続税の納税猶予の特定貸付けに関する届出書」
  • 一定の農地や準農地がある場合は市区町村長の証明書

 

特例の適用期間中の継続届出

納税猶予の特例の適用を受ける農業相続人は、その適用を受ける間、3年ごとに継続届出書を提出しなければなりません

 

この継続届出の手続きを行う際には、農業委員会による「引き続き農業経営を行っている旨の証明書」が必要となります。

 

また、「特例農地等に係る農業経営に関する明細書」も作成し、提出しなければなりません。

 

農地の相続税を計算するときの注意点

最後に、農地を相続する場合の注意点について解説します。

 

納税猶予の特例の適用を受けない場合でもいくつか注意すべき点があるので、よく確認しておきましょう。

 

農地の相続税評価額は思わぬ金額になることもある

農地に対する固定資産税の金額は、宅地と比較するとかなり低い金額になっている場合があります。

 

特に、市街地の中に所在する農地でも宅地に比べると固定資産税評価額が大幅に低いことがあるのです。

 

当然、納付する固定資産税の額も少ないことから、この場合は相続税も大したことがないと考えているかもしれません。

 

しかし、このような誤解が、時には大きな誤りを生む原因となる可能性があります。
固定資産税評価額は低い金額となっていても、相続税評価額は必ずしも低いとは限らないからです。

 

農地の相続税評価額の計算方法に従い、正しい金額を求める必要があるのです。

 

4つの農地の区分のいずれに該当するかを間違えない

農地の相続税評価額の計算方法は、倍率方式と宅地比準方式のいずれかにより計算された金額をベースとしています。

 

ただ、そのいずれの方法により計算するかは、農地の区分にもとづいて定められており、自分で選択するものではありません

 

そこで重要なのが、農地が4つの区分のいずれに該当するかです。

 

純農地、中間農地、市街地周辺農地、市街地農地のいずれに該当するかを間違えると、その評価方法も間違える可能性があります。

必ずどの区分に該当するのかを確認しておくようにしましょう。

 

 

 

農地を保有する方が亡くなると、その相続税額がかなり大きな金額になることがあります。

 

これは、その農地を宅地に近い方法で評価しているためです。
ただし、農業を継続する相続人がいる場合には、納税猶予の特例の適用を受けられます。

 

納税猶予を受ける場合のメリットと、農業を続けることの負担を考慮し、納税猶予を受けるか否かを決定するようにしましょう。