農地を相続したら知っておきたい、農地法のこと|農地法第5条とは?

 

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こんにちは!estate_diaryです。
 

 数回にわたりお話ししている農地法のお話ですが、ひとまず今回で最終回!

農地法第5条についてです。

相続した農地の売却を考えている場合は、買主が用途変更を希望しているケースも考えられてます。

そんなケースで登場するのが、農地法第5条です。

農地の売却を検討している方は、参考になさってください!

 

農地法とは?

毎回お話ししておりますが、農地法とは、国民の食糧を確保するうえで欠かせない農地を将来に渡って保護するための法律です。

国土の狭い日本では、農地は大切な資源です。

そこで国は、無秩序な用途変更や非効率な耕作から農地を守るために農地法を制定しました。

 

第2章(第3条~第15条)に「権利移転及び転用の制限等」という項目が規定されています。

この項目には、売買を含む譲渡や賃貸を行う場合の許可や届け出について必要なことが規定されています。

 

今回の記事では、第5条を取り上げていきます。

 

第5条の内容とは?

農地法第5条は、権利の変動を伴う用途変更を行う際に必要な申請です。

大まかな内容は第4条の用途変更と同じですが、以下の違いがあります。

 

  1. 当該農地の権利に変動(譲渡や売買、賃貸契約)があること
  2. 用途変更工事を譲受人(もらった人や買った人、借りた人など)が行う(発注する)こと

 

 なお、権利が変動する前に用途変更を行い登記簿上の地目変更を完了した農地は、地目変更によって農地ではなくなります。

地目が農地でなくなった後の土地は農業委員会の管轄から離れ、利用や処分を自由に行えるようになります。

 

第5条申請から地目変更までの流れ

第5条申請は、権利の変動を伴う用途変更手続きです。

売買を例に流れを確認しましょう。 

  1. 売主・買主が売買内容に同意し、契約が成立する
  2. 売主・買主の連名で、申請書を作成する(連名ではあるが、用途変更後どのように使用するかなど、ほとんどの書類を買主側が用意します)
  3. 農業委員会へ提出し、必要に応じで都道府県が許可を出す
  4. 許可書を基に、売買代金の決済及び名義変更手続きを行う
  5. 買主は申請書の内容通りに整地・使用し、現況が農地ではなくなったことを農業委員会へ報告する
  6. 一定期間経過後も現況が申請書通りに使用されていることが認められれば、はれて登記簿の地目変更ができます

 

 ここで注意して欲しいのが、4.以降の内容です。

農地法第5条申請は、許可や届け出だけでは地目変更ができません。

許可などが下りた後に利用状況報告が必要で、これを怠ると、いつまで経っても農地のままです。

第5条の申請では、添付書類として「どのように整地するか」「どのように利用するか」を細かく提示します。

 農業委員会や都道府県は許可などを出した後、当該農地が申請通りに整地・利用されていることをちゃんと確認するのです。

登記簿上の地目を早く変更したい場合は、利用状況報告を速やかに行ってください!

ちなみに農地転用許可が下りたにもかかわらず、利用状況報告をせずに放置された農地も稀に存在します。

放置期間の長さによっては、再申請を求められることもあるのでご注意ください。

 

プラスアルファの知識

【現況と登記簿上の地目が異なる場合】

上記例と関連しますが、登記簿上の地目が農地でありながら、現況が宅地や雑種地になっているケースがあります。

過去に農地転用申請が行われた上記のような土地に見られるケースです。

このような土地で所有権移転登記をする場合は、所有権の前に地目変更の登記が必要です。

地目は登記簿の「甲区」(所在地や面積、区分などを表記した項目)の記載事項で、その登記申請は土地家屋調査士の独占業務です。

上記のような土地の譲渡や売買を行う場合は、決済の前に土地家屋調査士へ相談しましょう。

なお、土地家屋調査士に上記のような事情の地目変更を依頼する際は「農地転用受理通知書」の添付で対応してもらうことも可能です。

 

農地を相続したら知っておきたい、農地法のこと|農地法第4条とは?

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こんにちは。estate_diaryです。

 

数回にわたり農地を相続した方向けのお話をしております。

前回は農地法第3条のお話をしましたので、今回は農地法第4条について解説したいと思います。

「相続=農地法第4条」ではありませんが、相続した農地をどうするか検討する際の参考にしてください!

 

農地法とは?

前回もご説明しましたが、農地法とは国民の食糧調達に欠かせない農地を、将来に渡って保護するための法律です。

農地を守ることが目的であるため、無秩序な用途変更や非効率な耕作を防ぐことなどを目的としています。

 

第2章(第3条~第15条)に「権利移転及び転用の制限等」が規定されていて、売買を含む譲渡や賃貸を行う場合の許可や届け出について定められています。

その中でも第4条・第5条「用途変更」についての規定で、当該農地を農業以外の用途で使用したい場合に必要な申請です。

今回の記事では、第4条を取り上げていきます。

 

第4条の内容とは?

農地法第4条とは、所有している農地を農地以外の目的で利用するために、土地の用途変更を願い出る手続きです。

その内容には、以下のポイントがあります。

  1. 当該農地の所有者に変更がないこと
  2. 農地を農地以外の用途で利用すること
  3. 当該農地の所在場所によって「許可」または「届出」になること
  4. 申請が認められて用途変更すると、登記簿上の「地目」も変わること
  5. 用途変更工事を所有者が行う(発注する)こと

3.と4.について、詳しくご説明します。

  

[3.「許可」と「届出」の違い]

農地法では、当該農地の所在場所が「市街化調整区域」または「都市計画区域外」の場合、申請の種類は「許可」となります。

一方、当該農地が「市街化区域」に所在する場合は、申請の種類は「届出」となります。

農地転用とは農地を農地以外(建物を建てたり、駐車場や資材置き場)で利用することが目的です。

そのため、開発が前提の市街化区域に所在するのであれば、許可は不要なので「届出」でOK。

反対に無秩序な開発の抑制を目的としている市街化調整区域や、開発計画すら立てられていない都市計画区域外では「許可」がないとNG。

と理解すると分かりやすいでしょう。

 

[4.地目変更について]

土地の登記簿を見てみると「甲区」「乙区」に分かれています。

甲区には、その不動産に関する表記(所在地や面積、区分など)が記載されています。

乙区には、その不動産の権利に関する表記(所有者や取得理由、抵当権や抵当権者)が記載されています。

農地法第4条申請の後に変更される地目は甲区の記載事項なので、農地転用を行った場合は、登記簿の甲区を変更する手続きをしてください。

 

ちなみに、登記簿の乙区の申請は司法書士の業務範囲ですが、 甲区(表題部分)は土地家屋調査士の業務範囲です。

司法書士さんでは対応できませんので、依頼する際は注意しましょう!

 

第4条の申請先

農地法第4条の申請は、許可・届出ともに、当該農地を管轄する農業委員会窓口です。

届出の場合は農業委員会が受け付けから完了まで担当しますが、許可の場合は、都道府県が許可権者となります。

 

用途変更手続きの注意点

ここまで、農地法4条申請による「用途変更」についてお話ししましたが、用途変更を申請する前に注意すべき点があります。

それは、当該農地が「農業振興地域内の農地」であるか否かです。

農業振興地域は、そもそも農業以外の利用を禁止している区域です。

そのため、農業振興地域のままでは用途変更が認められることはありません。

農業振興地域内の農地を用途変更したい場合は、まず「農振除外」ができるかどうかを確認してくださいね!

 

 まとめ

農地法第4条とは、所有者は変わらず、農地を農地以外の用途に変更する手続きです。

農業振興地域内の農地などは、農地保護の観点から用途変更できない場合もあります。

もともと農業を営まれている方は農地法にもお詳しいかと思いますが、相続で農地を取得した場合などは、農地法に馴染みのない方もいらっしゃると思います。

農地の用途変更を希望する場合は、一度、専門の不動産業者へ相談してみてください!

農地を相続したら知っておきたい、農地法のこと|農地法第3条とは?

 

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こんにちは!estate_diaryです。

先日は相続した農地の売却と、一般的な売買での手続きの違いについてお話ししました。

今回はその続き。

「農地法第3条」について詳しく解説したいと思います。

相続と直接関係はありませんが、相続した土地の活用法を考える上で、参考にしてください!

 

農地法ってどんな法律?

農地法とは、国民にとって必要な農業を行うための土地を、将来に渡って保護するために作られた法律です。

国土の限られた日本においては、農地を「限られた資源」と捉え、無秩序な用途変更や非効率な耕作を防ぐなどの目的があります。

 

【農地法の目的】

・利用関係の調整

・耕作者の権利取得の促進

・農地の農業上の利用の確保

・耕作者の地位の安定

・国内の農業生産の増大

・国民に対する食料の安定供給の確保

など。

 

【権利移動・転用に関する規定】

農地法の中でも第2章(第3条~第15条)は「権利移動及び転用の制限等」となっていて、売買を含む譲渡や賃貸を行う場合に関係してきます。

不動産業者が関わることが特に多いのは、第3条~第5条で、売買を手掛けるときには熟知しておく必要があります。

今回の記事では、第3条を取り上げていきます。

 

第3条はどんな内容なの?

農地法第3条とは農地を他人に譲渡・賃貸などして、権利を譲る際に必要な許可申請です。

権利の譲受人が農業に従事し、当該土地を農地として利用する場合に適用されます。

つまり、農地を農業従事者に譲り、農地のままで使ってもらうときに適用される法律です。

申請手続きに関する概要は、下記のとおりです。

 

【申請先】

農地の所在する市町村の農業委員会

 

【許可権者】

農地の所在する市町村の農業委員会

 

【農地の定義】

「耕作の目的に供される土地」と定義されており、登記簿上の地目によって判定されるものではありません。

しかし実際の不動産売買の現場では、現況が耕作の目的に供されていない土地でも、登記簿上で「田」や「畑」となっていれば申請を求められるケースが見られます。

現況がただの空き地に見えても、登記簿上の地目が農地である場合は農業委員会へ確認した方が無難です。

 

【現況と登記簿上の地目が異なる場合】

上記例とは少し違いますが、登記簿上の地目が農地でありながら、現況が宅地になっているケースがあります。

この場合は所有権移転登記を行う際に「農地転用受理通知書」の添付が必要です。

 

※農地法第3条は、農地を農地として利用する場合に必要な許可申請です。

そのため現況宅地の土地を譲渡後に農地として使うことは考えにくく、この項目の説明は該当しないと思われます。知識の一つとしてご理解ください。

 

【該当事案】

・所有権移転をする場合

・地上権、賃借権等の設定や移転をする場合

 

【その他、規制の適用範囲】

現況が耕作の目的に供されていない場合でも、下記の土地は農地法の規制の適用範囲となります。

・休耕地

・果樹園

・竹林の育成地

・林業種苗地

・蓮池

 

 相続との関連

通常、農地の権利に変動がある場合は、農地法による許可申請が必要です。

しかし各々の意思に基づいて行われる譲渡や賃貸借と違い、相続は譲受人の意思とは無関係に発生する権利変動です。

そのため相続で農地を取得する場合には、農地法の許可は必要ありません。

しかし相続した農地を処分する際には、農地法のお世話になるはずです。

例えば農地を農業従事者に売却し、そのまま農地として耕作に利用する場合には農地法第3条の許可が必要になってきます。

農地を相続するだけならさほど意識する必要はない農地法ですが、相続のその先に何をするかによって、必要性が出てくる知識です。

相続人が農業を営んでいる場合には農地法を熟知されているかもしれませんが、農業経験のない方なら全くご存知ない可能性もあります。

 

相続で農地を取得した場合は、専門の不動産業者に活用方法などを相談してみてはいかがでしょうか?

 

 

 

相続した農地を売却する。通常の売買との違いはあるの!?

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こんにちは!estate_diaryです。

今日は現在進行中の売買案件を基に、相続した農地を売買するまでの流れを解説致します。

土地売買において農地は特別に保護された存在ですが、相続の場合は通常の売買での取得と状況が異なるため、必要な手続きも違います。

通常の売買と相続の違いを確認しながら、理解してもらえると嬉しいです!

 

農地を売買で取得する(通常の流れ)

農地の所有権を移転する場合、通常は以下の2つのパターンが考えられます。

  【その1:売買した農地を農地として利用する】

農地とは、そもそも農業のために使う土地です。そのため農業を営む人(個人や法人)に売却され、そのまま農地として使われるのが当然の流れです。

そのため農地法による手続きもそれほど厳しくはなく、以下の申請を行います。

(農地法第3条申請)

 農地法第3条とは、農地を耕作する目的で、所有権を移転したり賃借する場合に必要な申請です。

提出先は農地が所在する市町村の農業委員会で、譲渡人、譲受人の双方が申請者となります。

申請者の住所が農地の所在市町村と同じ場合には農業委員会が許可権者となりますが、異なる場合は都道府県知事が許可権者となります。

原則として、農家でない者が農地を取得することはできませんので、以下の条件が求められます。

・取得した農地を含め、取得者が所有する農地の全てを耕作すること(弁部効率利用条件)

・必要な農作業に、取得者が常時従事すること(農作業常時従事要件)

・通勤距離を鑑み、農地の効率的な利用・耕作ができること(農作業常時従事要件)

・経営する農地の面積が、該当する市町村の下限免責をクリアしていること(下限面積要件)

 

【その2:売買した農地を農地以外で利用する】  

登記簿上で「田」や「畑」となっている土地でも、実際は耕作を行っておらず、立地的にも宅地や駐車場として利用したい場合があります。

そのように農地を農地以外の目的で利用し、なお且つ所有権の変更を伴う場合に行うのが以下の申請です。

(農地法第5条申請)

農地法第5条とは、農地を農地以外で利用することを目的に権利移転(売買や賃貸等)する時に必要な申請です。

提出先は農地が所在する市町村の農業委員会で、申請者は譲渡人・譲受人の双方です。

土地の利用目的が耕作ではないため、農業を生業としない者でも取得することができます。

以下の条件が求められます。

・概ね1年以内の利用計画があること

・購入資金が確保できることを証明できる(預金残高証明や融資証明等)

・農地を転用する正当な理由がある

など。

 

農地を相続して取得する

 売買の場合と異なり、相続では譲受人(相続人)の意思と関係なく農地を譲り受けることになります。

そのため農地法の適用を受けることなく、農地を取得できます。

土地を相続するためにいちいち農地法の申請が必要だと、相続手続きの円滑な処理ができず、相続人にとって負担が大きいです。

そのため農地であっても、相続で取得する場合は例外的に申請が不要とされているのです。

 

 相続した農地を売却する場合に必要な手続き

相続した農地を売却する場合は、農地法の申請を買主が行うのが一般的です。

売買契約書に「売主は申請手続きに協力する」という趣旨の文言が付され、申請書の記入などが求められます。

また、登記簿の所有権欄に相続を経由した旨の記載が求められますので、所有権移転登記に必要な「遺産分割協議書」などは、早めに作成しておきましょう。

 

まとめ

相続によって農地を取得した場合は、売買などで取得する場合に必要な農地法の申請手続きは不要です。

しかし売却する際には、登記簿で「相続があった」旨の記載が要求されます。

また、売買契約自体にも「真の所有者である」旨の証明は必須ですので、遺産分割協議書などの「相続情報証明書類」は、早めに準備しておきましょう。

 

民法改正のポイント|不動産相続関連その1:配偶者居住権

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こんにちは!estate_diaryです。

 

2020年4月から、改正民法が施行されました。

明治憲法制定以来大きな改正がなかった民法だけに、不動産業界でもここ1、2年、改正に関する情報が頻繁に入ってきます。

私たち不動産業界では、改正によって影響を受ける分野がいくつかありますが、その中でも「相続法」は仕事に直結する重要な分野です。 

 

不動産・相続の専門家としては外せない法律です!

 

そこで自分自身の勉強も兼ねて、不動産相続に関連する「民法改正」を解説したいと思います。

今回は「配偶者居住権」です。

居住建物の所有者が亡くなったとき、残された配偶者が経済的に不利な状況になるのを防ぐ新しい法律です。

持ち家に居住されている方には是非知っておいてもらいたい新法ですので、ザックリではありますが、頭の片隅に入れておいてください!

「配偶者居住権」ってなぁに?

 「配偶者居住権」とは、ある人が亡くなったときに、その亡くなった人(被相続人)の所有する建物に配偶者が住み続けられるように、居住の権利を保護する施策です。

配偶者居住権は「配偶者居住権」「短期配偶者居住権」の2種類があり、どちらも今回の民法改正で新設されました。

 

改正前の配偶者居住権

改正前の民法では遺産分割で配偶者が居住建物を相続すると、相続財産の計算上「一番高価な遺産」を受け取ったことになるケースが多く、その他の預貯金などを受け取れない事態が起きました。

「高価な不動産を相続するのだから、取り分は充分でしょ!だから預貯金は譲ってちょうだい」と、他の相続人に言われてしまうのです。

その結果、居住建物を相続した配偶者が生活に困窮する事例が頻発し、社会問題となったのです。

改正後の配偶者居住権

2020年4月に施行された改正民法では、上記の問題を解決すべく2つの配偶者居住権新設❞されました。

 

①配偶者居住権

配偶者に終身または一定期間、居住建物を使用する権利を認めるものです。

これは遺産分割の選択肢であるだけでなく、遺贈によっても配偶者に居住権を取得させることができます。 

 

<適用要件>

  •  被相続人所有の建物が対象
  • 相続開始の時に、配偶者がその建物に居住していること

 

②配偶者短期居住権

配偶者に短期的に居住建物を使用する権利を認めるものです。

その期間は下記の「いずれか遅い日」までの間です。

  1. 遺産分割が行われ、当該建物の帰属が確定するまでの間
  2. 相続開始の日から6ヶ月を経過する日

この権利が確保されることで、被相続人が当該建物を配偶者以外の者に遺贈した場合でも、配偶者は最低でも6ヶ月間、無償で居住建物を使用することができます。

 

<適用要件>

  • 被相続人所有の建物が対象
  • 相続開始の時に、配偶者がその建物に無償で居住していること

 

【遺贈】

遺言により財産を贈与すること。これによって相続人以外の者に財産を与えることができますが。また、相続人に対して遺言を残す場合にも「遺贈」と言います。

 

 

「配偶者居住権」のまとめ

配偶者居住権をまとめると、下記の通りになります。

  1. 配偶者居住権には「終身または一定期間」権利を保護する「(長期的な)居住権」と、「建物の帰属が確定するまでまたは6ヶ月間」権利を保護する短期居住権が存在する。
  2. どちらも当該建物が、被相続人所有であること。
  3. どちらも、相続開始の時に当該建物に居住していること。

 

最後に

 

居住建物の所有者が亡くなった時、残された配偶者がその建物に住み続けるのは「当たり前」のようにも思えます。

しかし法的にその権利が守られてきたわけではありません。

不動産を扱う仕事をしていると、そんな理不尽に出会うことも少なからずありました。

しかし今回の民法改正によって配偶者の権利が大幅に守られるのは、残りの人生の安心が増えて良いことだと思います。

大黒柱に先立たれて将来が不安になってしまう。

そんな人が少しでも減るよう、微力ながら情報発信をしていきたいと思います!

 

民法改正のポイント|不動産相続関連その2:持ち戻し免除

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こんにちは!estate_diaryです。

 

前回に引き続き、民法改正に関する解説をしていきたいと思います。

民法改正の解説と言っても民法全般を解説するのは大変なので、誠に勝手ながら不動産業に関係のある分野を解説中です!

今回は第2弾として「相続法」の中から「持ち戻し免除」に関する改正内容をお伝えいたします。 

 

「持ち戻し」ってなぁに?

「持ち戻し」なんて日常生活ではなかなか聞かない言葉ですね。

私もこの仕事をしていなければ、おそらく出会わなかった言葉だと思います。

「持ち戻し」とは、生前贈与で受け取った財産を遺産分割の総額に加算することです。

 

【例】

被相続人A(亡くなった人)が生存中に、後の相続人となるBに財産の一部を贈与(生前贈与)したとします。

被相続人Aが亡くなって財産分与をするとき、すでに財産の一部を受け取っているBと、B以外の相続人が同じ割合で遺産分割を受けるとB以外の相続人が損をしてしまします。

そのためBがAから受けた生前贈与は「特別受益」として扱われ、原則として遺産分割する財産の総額に加算されます。

この加算する行為を「持ち戻し」と言うのです。

 

【特別受益】

相続人が複数人いる相続において、一部の相続人が被相続人から個別で遺贈された(受け取った)財産が特別受益です。一部の相続人だけが生前に贈与を受けているにも関わらず、均等に遺産分割を行ったのでは、他の相続人にとって不公平です。特別受益とは共同相続人の公平を保つ観点から生まれた概念なのです。

 

原則として、共同相続人の中に生前贈与を受けた者がいる場合は、その財産は特別受益として扱われます。

そのため現存する財産に特別受益を加算したものが相続財産の総額とされ、そこから各相続人の相続額が割り出されます。

特別受益を受けた相続人は、相続額から特別受益分を差し引いた額を受け取ることになります。

 

持ち戻しの免除

生前贈与を相続財産に加算する「持ち戻し」ですが、実は免除することができます。

生前贈与が特別受益として相続財産に加算されると、受贈者に対して「他の相続人よりも多く財産を譲りたい」と思った被相続人の気持ちが台無しになってしまうからです。

この被相続人の思いを実現させる制度が「持ち戻しの免除」なのですが、今回の民法改正で、その「意思表示」に関して新たな項目が追加されました。

改正前の持ち戻し免除

元々の法律では、被相続人が贈与等によって財産を分与した場合、その財産を特別受益として取り扱わない旨の意思表示が必要でした。

その意思表示を「持ち戻し免除の意思表示」と言い、この意思表示がされたときは、遺産分割において持ち戻し計算を行わないことが認められていました。

 

改正後の持ち戻し免除

改正後の法律では、持ち戻し免除の意思表示において「推定」が働く要件が新設されました。

一方の配偶者が他方の配偶者に居住用不動産の贈与等を行った場合、持ち戻し免除の意思表示を行っていなかったとしてもその意思表示があったもの」推定するという内容です。

この推定は、婚姻期間が20年以上の夫婦間で相続が発生した場合に適用されます。

この改正で遺産分割における財産の計算上、当該居住不動産の持ち戻しが原則不要となりました。

この規定により生存配偶者の相続分の保護が図られ、生活が困窮することを防ぐ効果が期待されます。

 

「持ち戻し免除」のまとめ

持ち戻し免除は以前から存在する制度でしたが、遺贈者の「持ち戻し免除の意思表示」が要件であったことからハードルの高いものでした。

しかし今回の法律改正で、20年以上の婚姻期間があれば免除の意思が「推定」されるようになりました。

これは法律の専門知識を持っていない方でも叶う要件で、ハードルもかなり下がったと言えます。

ただし、遺産分割のときにこの制度を知らなければ活用できません。

万が一、居住不動産を所有する配偶者が亡くなってしまったときは、専門家を交えて遺産分割協議を行うことをお勧めします。

 

 

相続人不存在の不動産はどうなるの?国の対応と相続不動産の帰属

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不動産業者として相続の勉強をしていると、その奥の深さに学習意欲をかき立てられます。

今回は不動産業とはあまり関係がないのですが、相続人が誰もいない不動産の行く末を考えてみましょう。

 

相続人不存在の相続財産

「相続人不存在」とは、誰かが亡くなったとき「その人の財産を相続する人が誰もいない」という状態です。

相続する人がいなければ、残された財産は行き場を失ってしまいます。

さて、これらの財産はどうなってしまうのでしょうか?

 

【一般的な財産の行方】

相続人のいない相続財産は、検察官や利害関係人の申し立てによって選任された「相続財産管理人」によって処分されます。

相続財産管理人の選任は、亡くなった方の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てて行います。

専任されればその旨を公示し、以下のような役目を果たします。

  1. 戸籍などを取り寄せ、相続人がいないか捜索する
  2. 相続財産の換価
  3. 相続債権者への支払い
  4. 受遺者(遺言によって財産を譲り受ける人)が遺贈を受けるかの意思確認
  5. 特別縁故者への遺産分与

これらの作業を全て終えても財産が残った場合、残りの財産は国庫へと帰属します。

  

【他の財産とはちょっと違う不動産の事情】

一般的な相続財産はおおむね上述の作業によって処理されますが、不動産にはちょっと違う事情が存在します。

一般的な財産は単独所有がほとんどですが、不動産の場合「共同所有」という概念がありあます。

もちろん全ての不動産に当てはまるわけではありませんが、意外と多いので注意が必要です。

 

 相続人不存在の不動産に「共有者」がいる場合

 

民法255条には、共有者が死亡して相続人がいない場合、その持ち分が他の共有者に帰属する旨の規定があります。

その規定に従うと、相続人のいない不動産は、他の共有者が引き継ぐことになりそうです。

民法255条 共有者の一人が、その持分を放棄したとき、又は死亡して相続人がいないときは、その持分は、他の共有者に帰属する。 

 

「共有者」と「特別縁故者」はどっちが優先?

相続人不存在の不動産に共有者がいた場合、不動産はすんなり共有者のものになるのでしょうか?

実はそうでもなさそうです。

相続不存在の場合、相続財管理人は「特別縁故者」が名乗り出ないか調べます。

この特別縁故者は「相続人」の身分を有していない第三者なのですが、生前、故人と内縁関係にあったり、故人を献身的に看護したりなど、特別な事情により遺産を受け取る権利のある人です。

民法958条の3(抜粋)

前条の場合において、相当と認めるときは、家庭裁判所は、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めていた者その他被相続人と特別の縁故があった者の請求によって、それらの者に、清算後残存すべき相続財産の全部又は一部を与えることができる。

 

相続人はいないが特別縁故者がいる相続不動産の場合、共有者と特別縁故者、どちらが優先されるのでしょうか?

 

判例によると、共有者と特別縁故者が存在する場合、特別縁故者が優先して遺贈を受けられるそうです。(最高裁判例平成元年11月24日)

従って共有者は、相続人も特別縁故者もいない場合に不動産を取得できることになります。

判例趣旨

共有者の一人が死亡し、相続人の不存在が確定し、相続債権者や受遺者に対する清算手続きが終了したときは、その持分は、民法九五八条の三に基づく特別縁故者に対する財産分与の対象となり、右財産分与がされないときに、同法二五五条により他の共有者に帰属する。(反対意見がある。)

 

相続人不存在不動産に対する国の対応

 現在、引き取り手の不在や所有者不明で国庫に帰属されている不動産は、相当数存在しています。

それらの多くは利用価値が低く、管理コストの増大が問題視されています。

国はこれら管理費や不明の所有者を捜索する費用を抑えるため、将来的に国庫帰属となる可能性のある財産に対して、死因贈与契約を締結するなどの取り組みを行っています。

しかし相続人不在などの不動産がスムーズに国庫帰属されても、それはストックされた不動産を活かすことにはつながりません。

引き取り手のない不動産が活躍できるよう、多様性のある世の中になることを願うばかりです。

相続した不動産は売るべき?貸すべき?それぞれのメリットとデメリット!

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相続した不動産を売るのか貸すのか?

これは永遠のテーマとも言える問題ですが、不動産業を営んでいると必ず相談されることです。

相続した不動産をどう活かすのか?その答えはケースバイケースですが、悩んでいる方の方向性が決めやすくなるよう「売る」「貸す」それぞれのメリット・デメリットを解説いたします。

 

不動産を売却する場合のメリット

不動産を相続したとき、まず思い浮かぶ選択肢が売却です。

売却にはどんなメリットがあるのでしょうか?

 

■まとまったお金が入ってくる

所在地や広さによっても違いますが、多くの不動産の場合、売却すればある程度のまとまったお金が入ってきます。

 

■税金などの維持費が掛からない

地目や所在地によっても金額に差はありますが、不動産を所有していると毎年「固定資産税」の支払い義務が発生します。

売却すれば固定資産税の支払いや、その他の維持費も掛からなくなります。

 

■管理の手間が掛からない

不動産を所有していると、さまざまな労力が必要です。

建物であれば古くなった箇所を修繕費しなければなりませんし、土地であれば草刈りなどの手入れが必要です。

売却して不動産を手放すと、これらの負担から解放されます。

 

不動産を売却する場合のデメリット

メリットがあればデメリットもあります。

不動産を売却する時にはどんなデメリットがあるのでしょうか?

 

■売るタイミングによっては損をする

売却をためらう一番の理由はこれじゃないでしょうか?

不動産を売却したあと、地価が高騰するケースがあります。

1年くらいで大幅に変わることは稀ですが、都市部に近い場所では5年~10年で大幅に値上がりするケースもあります。

 

■意外と掛かる売却費用

不動産売却には仲介手数料や登記費用、測量費用や整地費用など、高額の費用が掛かります。

これらの費用は売却代金から賄うこともありますが、先に整地をして売り出す場合は、手持ち金で工面することもあります。

 

■融資利用ができなくなる

不動産を所有していると、それを担保に融資を受けることができます。

しかし売却して完全に手放してしまうと、担保として利用できなくなります。

 

不動産を貸す場合のメリット

相続した不動産を「売却せずに運用したい」と考える方も多いと思います。

では不動産を貸し出して運用した場合、どのようなメリットがあるのでしょうか?

 

■継続的に収入が得られる

不動産を貸す最大の理由はこれでしょう。

不動産を貸し出すと、決まった家賃が定期的、継続的に得られます。

立地や物件の種類によっては高額の家賃収入が得られることもあります。

 

■子供に財産を残せる

収入を得ながら不動産を所有できるので、将来、子供に財産を残すことができます。

 

■売るタイミングを図れる

いずれ売却を考えている場合、収入があれば売り急ぐ必要がありません。

地価の動向や地域の需要を見極める余裕ができます。

 

不動産を貸す場合のデメリット

貸し出す場合にも、当然メリット・デメリットの両方があります。

不動産を貸す場合のデメリットを見てみましょう。

 

■借り手がいないリスク

賃貸経営でまず心配なのが、借り手がいるかどうかです。

どれだけ高い家賃設定をしても、借り手がいなければ1円も入ってきません。

今の日本では、古い物件や地方の空き家が社会問題になっています。

 

■維持費が掛かる

賃貸物件として貸し出す前に、傷んだ箇所をリフォームする必要があります。

最近では「自由にリフォームできる物件」として現状貸しするケースもありますが、一般的に浸透しているとは言えません。

 

■管理義務が発生する

賃貸経営をする場合、ほったらかしで運営できるわけではありません。

毎月家賃を回収したり、未払いの入居者に催促したり、街灯などの設備管理もしなくてはなりません。

多くのオーナーさんがこれらの管理を不動産会社に依頼していますが、もちろんタダではありません。

賃貸経営をするには、それなりの管理負担が発生するのです。

 

「自分の場合はどうしたいのか」を考える

相続した不動産を売るのか貸すのか?

その答えを出すためには「自分がどうしたいのか」方向性を考える必要があります。

・例えば別の場所に新居を購入予定な場合、売却してまとまったお金を手に入れる方が都合がよいでしょう。

・賃貸経営を生業としたいのであれば、相続した不動産を運用するという選択になるでしょう。

しかし、賃貸経営は「ほったらかしておいても勝手に家賃が入ってくる」なんて簡単なものではありあません。

・将来に渡って所有していたい理由がなく、現時点で納得できる地価であれば、売却もありだと思います。

 

「何のために、どう活かしたいのか?」

ご自身のお仕事やご家族の将来、不動産の利用価値など、一つ一つ考えることで答えが見えてくると思います。

相続した土地を放置したら何が起こる?土地を放置するデメリット

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先日社内でミーティングをしていた時、公示地価改定の話題が出ました。

私の会社周辺の地域は、ここ数年で地価がかなり高騰したエリアに位置しており、毎年のように公示地価も上昇しています。

 

公示地価とは、地価公示法という法律に基づいて、毎年3月頃に発表される土地の標準的な金額のことです。

地価公示は全国規模で行われるのですが、全ての土地を対象としているわけではありません。

今後、ある程度の取引が見込める土地や都市計画区域(近い将来開発を進めたい区域と、しばらく開発させたくない区域を行政が指定した地域)で、国土交通省が定めた区域が対象です。

 

そして私には、公示価格改定のたびに思い出す知人の相続エピソードがあります。

 

相続した土地を放置した知人

私の知人は父親から土地を相続したのですが、長く使われていない荒れ地だった為、気にも留めず放置していたそうです。

その土地は知人が小さい頃からすでに父親が所有しており、いくらで手に入れたのかは知らないとのことでした。

月日が経つにつれその土地周辺は宅地化が進み、知人が相続した頃には爆発的に地価が高騰していました。

しかし知人は、その土地が農地であったことから大した値打ちはないと思い込み、運用することもなく放置していたのです。

 

トラブルその1:近隣からの苦情

知人が放置していた土地を気にするきっかけは、役所からの電話だったそうです。

「お宅の土地に草が生い茂り、近隣から苦情が出ています」

役所の人にそう言われて、知人は慌てて業者に草刈りを依頼したそうです。

直接苦情を言われたわけではないため、誰が苦情を出したのかが分かりません。謝罪もできない状態の知人は、近隣の方に遭うのがとても憂鬱だったそうです。

しかも数百坪の土地だったため、草刈り費用も結構掛かったのだとか。

 

トラブルその2:生産性のない土地

 放置している土地には生産性がなく、固定資産税の出費だけがかさみます。

幸い農地だった知人の土地は、固定資産税はさほど高くありません。

しかし周辺地域の発展ぶりを考えれば、宅地として販売したり、整地して貸し出たりすることも充分可能な立地です。なのに知人は、そのどちらもしていません。

これほどの土地を所有していながら、知人は収益を上げるチャンスを何年も逃していたのです。

 

知人へのおすすめプラン

せっかく相続した土地にあまりにも無頓着だった知人ですが、いかにもったいないことをしているのかを私が説明すると、やっと運用する気になってくれました。

私が提案したのはプランは2つです。

 

■プラン1:売却して利益を得る

これは一番安易なプランですが、土地を売却することを提案しました。

当該土地が宅地として人気上昇中のエリアであったことや、知人の「無頓着ぶり」から手放す選択肢も「あり」だと考えたのです。

 

■プラン2:貸出して運用する

荒れた農地であることから貸すことすらしていなかった知人の土地ですが、周辺地域の発展を見れば、借り手を探すのも難しくはありません。

農地として貸し出すよりも、整地して駐車場にするか、資材置き場として貸し出すことを提案しました。

 

ひとまず農地転用申請を!

私が提案したプランの中から、知人が選んだのはプラン2の「貸出して運用する」でした。

経済的に余裕のある知人は、当該地をキャッシュで整地する余裕があり、時間的にも切迫していません。

ひとまず農地転用申請を行って、建物が建築できる土地にしておいた方が、後々売却する時にも有利であると考えたのです。

知人の土地があるエリアは今でも地価が上がり続けていて、おそらく下がることはありません。

気が向いたときに売却すれば、今よりも大きな利益がでることでしょう。

ちなみに整地を終えたその土地は、早々に近くの企業が借り上げてくれました。

 

最後にもう一つ

今回の知人のケースでは相続した土地が農地であったため、固定資産税がそんなに高くありませんでした。

しかし相続した不動産が宅地や都心にある場合は、高額の固定資産税が課されるケースもあります。

もらったモノだと思って無関心でいると、予想外の出費を負担することになるのです。

 

相続などで不動産を持て余したときは、売却や運用も視野に入れて、専門の不動産屋に相談してみてください!

遺産分割協議は揉める?遺産分割が上手くいった家庭のケース

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亡くなった親御さんが資産家だった場合、残された子供たちの間で問題になるのが遺産分割です。

遺産相続の基本的な割合は法律で決められていますが、単純に当てはめられないのが遺産相続の難しさです。

「相続争い」との言葉があるくらい揉め事の原因となる遺産分割ですが、なにもお金持ちだけの問題ではないようです。

一説によると、相続争いは一般的な中流家庭で多く発生するそうです。しかし、必ずしも揉める家庭ばかりではありません。

 

これは、先日売買が成立したお客様のお話です。

農業をしていたお父様がなくなり、使っていない農地を売却されました。

兄弟4人が相続人で、土地の売却代金や預貯金など、合わせて1億円近い財産が残ったそうです。

このご家庭では遺産分割協議で揉めることもはなく、スムーズに相続がすすんだそうです。

その土地は長い間、畑として使っていたのですが、ここ数年急激に宅地化が進んだエリアにありました。

土地自体は地目が「畑」であるため、相続されたご家族はそんなに価値があるとは思っていなかったそうです。

 

相続人の構成

このご家庭の場合、お母さんはお亡くなりになっていたため、相続人は子供4人だけです。

しかしちょっと驚いたのが、一番下の御兄弟は非嫡出子。いわゆる、お父さんが外で作った腹違いの子供だそうです。

一般的に考えて、揉めるとしか思えません。

しかしこのご家庭では、円満に遺産分割をしたというのです。

 

揉めなかった理由

このご家庭の場合、揉めない理由がいくつかありました。

 

■理由その1:兄弟の仲が良い

「遺産分割協議では、これまで仲の良かった兄弟でも醜い争いをする」なんて話も聞きますが、このご家庭は違っていたようです。

お母様が肝の据わった方だったようで、小さい頃から、腹違いのご兄弟とも仲良くするよう言われて育ったそうです。

今は遠くに住んでいるそうですが、お互い憎まれ口もたたくほど仲良しなんだとか。

 

■理由その2:そもそも遺産を当てにしていなかった

このご兄弟は数筆の土地を相続していましたが、どの土地も農地で、さほど価値が期待できない土地でした。

そのため相続人全員が土地の存在を忘れるほど、当てにしていなかったそうです。

しかしその土地があった場所は、お父様がなくなる数年前から宅地化が急激に進み、地価がどんどん上がっている地域でした。

当社でお預かりしたときには、10年前の相場より5~6倍に跳ね上がっていたのです。

私が土地の査定額を説明したときには「こんなに高いの?ラッキー!」と言って、皆さんゲラゲラ笑っていたのを覚えています。

 

■理由その3:遺産分割協議は譲り合い

このご兄弟は仲が良いとお話ししましたが、その仲の良さは、お互いを尊重する気持ちから生まれていると思われます。

一番上のお姉さんは、遺産分割協議で揉めなかった理由を「納得するまで説明した」とおっしゃっていましたが、少しニュアンスが違うと思います。

実際には「納得するまで、相手の話も聞いて話し合った」のだと即座に感じました。

誰かが一方的に自分の都合を説明してきても、それで納得する人はいません。

自分の都合を説明しつつ、相手の話にも耳を傾ける。その両方ができる兄弟だからこそ、揉めずに意見がまとまったのです。

 

estate_diaryの個人的な見解

遺産分割をする場合、仲の良い兄弟でも相続争いをすると言われています。

正直言って、私は「その兄弟、本当に仲が良いの?」と疑問に感じます。

私の場合は親に資産がなかったため、遺産分割協議の経験がありません。

もし相続財産があったとしても、両親のためにお金や労力を使った兄弟が受け取ればいいと思っています。

実は私、兄弟の中でも、一番両親のために出費をしている自負があります。

休みのたびに時間を割いて、あちこち遊びにも連れて行きました。

確実に一番親孝行(自称)です。 

もしも自分の親が資産家であれば、一番多く相続財産を要求したいところです。

でも私は、遺産分割協議になっても「私にたくさんくれ!」とは言わなかったと思います。

なぜなら、親孝行は自分がしたくてしていることです。遺産をたくさんもらうためではないからです。

だって親の財産なんて、もともと自分のモノではありません。たとえ金額か少なくても、もらえるだけでラッキーだとは思いませんか?

 

相田みつをさんの言葉で「奪い合えば足らぬ 分け合えばあまる」という一節があります。

私の意見はあくまでも想像の域ですが、今回ご紹介したご兄弟は、この言葉を実践している素敵な人たちだと思いました。

親名義の土地を相続しても、名義変更はしなくていい!?相続税って高いの?

 

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 親御さんが亡くなって相続が発生した時、心配になるのが税金のことです。

相続税がいくらぐらい掛かるかなんて、普段は考えたこともない!なんて方も多いと思います。

まして、土地などの不動産を相続することになると、税金以外にも難しい手続きや出費が掛かりそうで不安。そう感じる人も珍しくありません。

 

そこで今日は土地を相続したケースを例に、相続税や名義変更のお話をしたいと思います。

 

相続が発生したら何をすればいいの?

 

土地の相続が発生したときの大まかな流れは、以下の通りです。

 

①相続の意思確認

相続が発生した時、相続人は相続するか相続放棄するかの選択ができます。

相続放棄をする場合は家庭裁判所への申し立てが必要ですが、放棄しないことに関する手続きは特にありません。

相続が発生したことを知った日から3ヵ月以内に相続放棄をしなければ、自動的に相続することが確定します。

 

②遺産分割協議

亡くなった人が遺言書を残している場合、相続財産を誰がどの割合で受け取るかは、遺言書の内容に従います。

遺言書が残されていない場合は、遺産分割協議で決めることになります。

しかし遺産分割協議は相続人全員の同意で成立するため、まとまるまで時間が掛かるケースもあります。

 

③相続登記

遺産分割協議書ができあがったら、土地の名義を亡くなった人から相続人へ変更します。

俗にこれを、相続登記と言います。

相続登記は相続人自ら行うこともできますが、専門知識が必要なため、殆どの人が司法書士へ依頼して行います。

 

④納税

相続人と相続財産額が確定したら、相続税額を計算し納税します。相続は納税額を割り出すまでに、多くの知識を必要とします。ケースバイケースで控除されるものも変わってきますので、税額の計算は税理士へ依頼することをおすすめします。

 

相続時に一番気になる「税金」

 

不動産の名義人が変わるときに発生する税金には、相続税と不動産取得税があります。

土地の相続で名義が変わる場合は相続税が課税されるのですが、相続人の中には「不動産取得税も課税されるのでは?」と心配される方がいます。

大丈夫です。両方は課税されません。

ただし、誰が受け取るかによっては、相続税ではなく取得税が課税されるケースがあります。

 

【ケース①遺贈】

通常、相続は親族が受けるものですが、遺言書にによって他人に財産を残すケースがあります。

これを遺贈と言い、不動産取得税の対象となります。

 

【ケース②死因贈与】

死因贈与とは、特定の人に特定の財産を与えるという内容の契約を、生きているうちに交わすものです。

こちらも不動産取得税の対象です。

 

肝心の税額はいくら?

 

相続税の計算方法は、

まず、相続財産の総額-(基礎控除3,000万円+600万円×相続人の数)で課税対象額を出し、さらに税率を掛けて計算します。

 

分かり辛いので、相続財産総額が5,000万円の場合を例にご説明します。

 

相続人が1人なら、財産総額5,000万円-(基礎控除額3,000万円+600万円×1)で、課税対象額は1,400万円となります。

1,400万円に、該当する税率を掛けると納税額です。

 

相続人が4人なら、相続財産額5,000万円-(基礎控除額3,000万円+600万円×4)で、課税額は-400万円となり、税金が掛からないことになるのです。

 

詳しい税率はこちら

No.4155 相続税の税率|国税庁

 

引用:国税庁ホームページ

 

 

 

名義変更はしなくてもいいって本当!?

 

相続に限らず、実は不動産の名義変更登記は義務ではありません。

だからと言って、名義を変更せずそのままにしておくと、後々不都合なことが起きる可能性があります。

 

名義を亡くなった人のままにしておくと、相続不動産は「相続人全員の共同所有」という扱いにあります。

万が一、相続人の一人が財産の差し押さえなどを受けた場合、相続不動産の一部も差し押さえられることがあります。

そうなってしまうと、売却したくてもなかなか売れなくなってしまします。

 

他にもデメリットは多々ありますので、

権利変動があった時は速やかに変更登記をしましょう!

 

以上、名義変更と相続税のお話しでした。