内縁の配偶者がいる場合、相続手続はどうするの?

こんにちは!estate_diaryです。

少し前の話ですが、5月6日に英国王の戴冠式が行われました。テレビで中継を見ていましたが、「カミラ王妃とは不倫関係だったな…」とそんなことを考えてしまいました。

愛し合っていたのになかなか結婚することができなかったのは、チャールズ国王とカミラ王妃に限った話ではありません。日本でも「愛し合っているのにわけあって結婚できない」というカップルは大勢います。不倫は賛成できませんが、親族の反対に遭っており、説得するのに時間がかかっている場合などもあるのでしょう。

一緒に暮らしていても、婚姻届を出せない関係を「内縁関係」とも呼びますが、どんなに愛し合っていても内縁の配偶者は法定相続人になれません。そんな時、遺された内縁のパートナーにに対して、出来ることはあるのでしょうか。

遺言を作成するか、生前贈与をするか

一番に思い浮かぶのが、遺言書の作成です。内縁の配偶者は相続人になることはできませんが、遺言書を作成しておくなら遺産を受け取ることが可能です。おすすめなのは公正証書遺言です。公証人が立会いの下で手続を行うため、内容に不備がないよう、しっかりとサポートしてもらえます。公証役場で保管されますので、捨てられてしまうリスクが少なくなります。他の相続人がいた場合、トラブルが起きる可能性がありますが、その時でも被相続人の意思が反映されやすいといえます。

遺言の場合、注意が必要なのは遺留分です。本来の法定相続人には、最低限認められている遺産の取り分(遺留分)があり、法定相続割合の1/2または1/3の額を占めます。もし法律上の配偶者や子どもに遺留分を請求された場合、遺言書どおりにはならないこともありえるのです。

 

一方で「亡くなる前に渡しておこう」と生前贈与を行う人もいます。遺留分で本来の相続人に渡る可能性を考えると、生きているうちに渡してしまう生前贈与の方がいいと思う人の気持ちもわかるような気がします。生前に財産を贈与する場合、相続権は関係ないので、内縁の配偶者に遺産を譲ることが可能です。贈与は年間110万円の基礎控除があるため、渡したい財産が高額になる場合には、何回かに分けて行う人も少なくありません。

 

籍を入れることをもう一度考えてみては?

今更ですが、婚姻届を提出し法律上の婚姻関係になれば、内縁の配偶者ではなく法定相続人となります。そもそも日本の制度では、配偶者は強く守られています。さらに相続のルールも「一家の主が亡くなった後、遺された妻や子が路頭に迷わないように…」という目的で作られたものです。時代は変わってもこのルールは生きています。

これまで内縁関係を続けてきたのには理由があると思いますが、内縁の配偶者というのはどうしても立場が弱いので、婚姻届の提出を選択肢に入れることをお勧めします。