こんにちは!estate_diaryです。
今回は「遺留分」について解説していきたいと思います。
ドラマや映画で「○○に全財産を相続する」というような内容の遺言書をめぐって骨肉の争いを繰り広げる…というようなシナリオを見たことがあります。
しかし実際は遺留分という制度があるので、その遺言書通りになるわけではありません。
今回はそんな遺留分について解説していきたいと思います。
遺留分とは?
例えば、一家の大黒柱である父が亡くなる直前に「全財産を愛人に譲る」という内容の遺言書を残していたとします。
遺言通りにしてしまうと、これまで一緒に生活してきた妻や子供はどこの馬の骨とも知らない愛人によってすべてを奪われてしまう可能性だってあります。
そうならないために、配偶者と子供は遺留分を請求できる権利が与えられます。
配偶者 = 2分の1
子 = 2分の1
配偶者と子 = 4分の1ずつ
直系尊属 = 3分の1
配偶者と直系尊属 = 3分の1:6分の1
兄弟姉妹 = なし
このような割合で誰か別の人に渡る遺産に対して遺留分として請求することができます。
上記のような妻と子がいる場合は、愛人の取り分は結局半分だけになってしまうということですね。
泥棒猫なんかに一文も渡したくないのが本音ですが、故人の意見も尊重されなければなりませんので遺言の内容も一応は効果があります。
どうやって取り戻す?
遺留分を侵害されている場合、黙っていてはそのまま愛人に全て持っていかれてしまうので、きちんと請求をしなければなりません。
直接話し合いによってもいいですし、協議が整わない場合は弁護士などを入れて訴訟手続きに発展することもあります。
何せきちんと「返してください!」と主張しなければ、そのまま逃げ切られてしまいます。
さて、父の遺産である土地が愛人の手に渡ってしまった場合、その半分を取り返すと言っても、そんな愛人と土地を半分こにしてお隣さん同士になるなんて絶対に嫌ですよね。
少し前までは「遺留分減殺請求」と言って、現物を取り戻す方法しかありませんでした。
本当に土地を共有するかもしくは分筆する方法や、株式や骨とう品などはその現品を取り戻すため、当然揉め事になり時間がかかってしまいます。
そこで2019年から「遺留分減殺請求」は「遺留分侵害額請求」となり、遺留分を侵害した金額を計算して請求することができるようになりました。
その土地の価格の半分の金額を愛人からもらうことで遺留分を取り戻したこととなります。
まとめ
遺留分とは、本来相続を受けるべき人たちが遺言などによって不当に相続分を侵害されていた場合に請求することが出来る権利です。
配偶者・子・直系尊属には遺留分の請求権がありますが、兄弟・姉妹には遺留分を請求する権利はありません。
遺留分侵害額請求をすることによって、侵害された分の金額を計算し取り戻すことが出来ます。