相続した不動産を売るのか貸すのか?
これは永遠のテーマとも言える問題ですが、不動産業を営んでいると必ず相談されることです。
相続した不動産をどう活かすのか?その答えはケースバイケースですが、悩んでいる方の方向性が決めやすくなるよう「売る」と「貸す」それぞれのメリット・デメリットを解説いたします。
不動産を売却する場合のメリット
不動産を相続したとき、まず思い浮かぶ選択肢が売却です。
売却にはどんなメリットがあるのでしょうか?
■まとまったお金が入ってくる
所在地や広さによっても違いますが、多くの不動産の場合、売却すればある程度のまとまったお金が入ってきます。
■税金などの維持費が掛からない
地目や所在地によっても金額に差はありますが、不動産を所有していると毎年「固定資産税」の支払い義務が発生します。
売却すれば固定資産税の支払いや、その他の維持費も掛からなくなります。
■管理の手間が掛からない
不動産を所有していると、さまざまな労力が必要です。
建物であれば古くなった箇所を修繕費しなければなりませんし、土地であれば草刈りなどの手入れが必要です。
売却して不動産を手放すと、これらの負担から解放されます。
不動産を売却する場合のデメリット
メリットがあればデメリットもあります。
不動産を売却する時にはどんなデメリットがあるのでしょうか?
■売るタイミングによっては損をする
売却をためらう一番の理由はこれじゃないでしょうか?
不動産を売却したあと、地価が高騰するケースがあります。
1年くらいで大幅に変わることは稀ですが、都市部に近い場所では5年~10年で大幅に値上がりするケースもあります。
■意外と掛かる売却費用
不動産売却には仲介手数料や登記費用、測量費用や整地費用など、高額の費用が掛かります。
これらの費用は売却代金から賄うこともありますが、先に整地をして売り出す場合は、手持ち金で工面することもあります。
■融資利用ができなくなる
不動産を所有していると、それを担保に融資を受けることができます。
しかし売却して完全に手放してしまうと、担保として利用できなくなります。
不動産を貸す場合のメリット
相続した不動産を「売却せずに運用したい」と考える方も多いと思います。
では不動産を貸し出して運用した場合、どのようなメリットがあるのでしょうか?
■継続的に収入が得られる
不動産を貸す最大の理由はこれでしょう。
不動産を貸し出すと、決まった家賃が定期的、継続的に得られます。
立地や物件の種類によっては高額の家賃収入が得られることもあります。
■子供に財産を残せる
収入を得ながら不動産を所有できるので、将来、子供に財産を残すことができます。
■売るタイミングを図れる
いずれ売却を考えている場合、収入があれば売り急ぐ必要がありません。
地価の動向や地域の需要を見極める余裕ができます。
不動産を貸す場合のデメリット
貸し出す場合にも、当然メリット・デメリットの両方があります。
不動産を貸す場合のデメリットを見てみましょう。
■借り手がいないリスク
賃貸経営でまず心配なのが、借り手がいるかどうかです。
どれだけ高い家賃設定をしても、借り手がいなければ1円も入ってきません。
今の日本では、古い物件や地方の空き家が社会問題になっています。
■維持費が掛かる
賃貸物件として貸し出す前に、傷んだ箇所をリフォームする必要があります。
最近では「自由にリフォームできる物件」として現状貸しするケースもありますが、一般的に浸透しているとは言えません。
■管理義務が発生する
賃貸経営をする場合、ほったらかしで運営できるわけではありません。
毎月家賃を回収したり、未払いの入居者に催促したり、街灯などの設備管理もしなくてはなりません。
多くのオーナーさんがこれらの管理を不動産会社に依頼していますが、もちろんタダではありません。
賃貸経営をするには、それなりの管理負担が発生するのです。
「自分の場合はどうしたいのか」を考える
相続した不動産を売るのか貸すのか?
その答えを出すためには「自分がどうしたいのか」方向性を考える必要があります。
・例えば別の場所に新居を購入予定な場合、売却してまとまったお金を手に入れる方が都合がよいでしょう。
・賃貸経営を生業としたいのであれば、相続した不動産を運用するという選択になるでしょう。
しかし、賃貸経営は「ほったらかしておいても勝手に家賃が入ってくる」なんて簡単なものではありあません。
・将来に渡って所有していたい理由がなく、現時点で納得できる地価であれば、売却もありだと思います。
「何のために、どう活かしたいのか?」
ご自身のお仕事やご家族の将来、不動産の利用価値など、一つ一つ考えることで答えが見えてくると思います。