先日社内でミーティングをしていた時、公示地価改定の話題が出ました。
私の会社周辺の地域は、ここ数年で地価がかなり高騰したエリアに位置しており、毎年のように公示地価も上昇しています。
公示地価とは、地価公示法という法律に基づいて、毎年3月頃に発表される土地の標準的な金額のことです。
地価公示は全国規模で行われるのですが、全ての土地を対象としているわけではありません。
今後、ある程度の取引が見込める土地や都市計画区域(近い将来開発を進めたい区域と、しばらく開発させたくない区域を行政が指定した地域)で、国土交通省が定めた区域が対象です。
そして私には、公示価格改定のたびに思い出す知人の相続エピソードがあります。
相続した土地を放置した知人
私の知人は父親から土地を相続したのですが、長く使われていない荒れ地だった為、気にも留めず放置していたそうです。
その土地は知人が小さい頃からすでに父親が所有しており、いくらで手に入れたのかは知らないとのことでした。
月日が経つにつれその土地周辺は宅地化が進み、知人が相続した頃には爆発的に地価が高騰していました。
しかし知人は、その土地が農地であったことから大した値打ちはないと思い込み、運用することもなく放置していたのです。
トラブルその1:近隣からの苦情
知人が放置していた土地を気にするきっかけは、役所からの電話だったそうです。
「お宅の土地に草が生い茂り、近隣から苦情が出ています」
役所の人にそう言われて、知人は慌てて業者に草刈りを依頼したそうです。
直接苦情を言われたわけではないため、誰が苦情を出したのかが分かりません。謝罪もできない状態の知人は、近隣の方に遭うのがとても憂鬱だったそうです。
しかも数百坪の土地だったため、草刈り費用も結構掛かったのだとか。
トラブルその2:生産性のない土地
放置している土地には生産性がなく、固定資産税の出費だけがかさみます。
幸い農地だった知人の土地は、固定資産税はさほど高くありません。
しかし周辺地域の発展ぶりを考えれば、宅地として販売したり、整地して貸し出たりすることも充分可能な立地です。なのに知人は、そのどちらもしていません。
これほどの土地を所有していながら、知人は収益を上げるチャンスを何年も逃していたのです。
知人へのおすすめプラン
せっかく相続した土地にあまりにも無頓着だった知人ですが、いかにもったいないことをしているのかを私が説明すると、やっと運用する気になってくれました。
私が提案したのはプランは2つです。
■プラン1:売却して利益を得る
これは一番安易なプランですが、土地を売却することを提案しました。
当該土地が宅地として人気上昇中のエリアであったことや、知人の「無頓着ぶり」から手放す選択肢も「あり」だと考えたのです。
■プラン2:貸出して運用する
荒れた農地であることから貸すことすらしていなかった知人の土地ですが、周辺地域の発展を見れば、借り手を探すのも難しくはありません。
農地として貸し出すよりも、整地して駐車場にするか、資材置き場として貸し出すことを提案しました。
ひとまず農地転用申請を!
私が提案したプランの中から、知人が選んだのはプラン2の「貸出して運用する」でした。
経済的に余裕のある知人は、当該地をキャッシュで整地する余裕があり、時間的にも切迫していません。
ひとまず農地転用申請を行って、建物が建築できる土地にしておいた方が、後々売却する時にも有利であると考えたのです。
知人の土地があるエリアは今でも地価が上がり続けていて、おそらく下がることはありません。
気が向いたときに売却すれば、今よりも大きな利益がでることでしょう。
ちなみに整地を終えたその土地は、早々に近くの企業が借り上げてくれました。
最後にもう一つ
今回の知人のケースでは相続した土地が農地であったため、固定資産税がそんなに高くありませんでした。
しかし相続した不動産が宅地や都心にある場合は、高額の固定資産税が課されるケースもあります。
もらったモノだと思って無関心でいると、予想外の出費を負担することになるのです。
相続などで不動産を持て余したときは、売却や運用も視野に入れて、専門の不動産屋に相談してみてください!