借地権の相続ってどうなるの?

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借地権、ってご存じでしょうか。

借地とは他人の土地を借りることです。

借地権の価格は更地価格の5~7割程度とされていて、かなり価値が高いものになります。

 

 

でも借地人が亡くなってしまったら、その借地契約自体が無くなってしまうのでは!?住んでいる私たちはどうなるの!?と思う方が多いと思います。

 

 

 

今回はこの借地権の相続について、書いていきたいと思います。

 

結論からお伝えしますが、、、

借地権も権利の一つですから、現金・預金、株式、不動産のように相続財産に含まれます。

つまり、借地契約の途中で借地人が死亡した場合には、借地人の相続人が借地権を相続することになります。

 

 

さらに、借地権を法定相続人が単純に相続する場合、相続について地主の承諾を得ることは不要です。相続がされました、と事後報告で十分です。

ですので、借地権が亡くなった借地人から相続人に相続されたことを理由に、地主が承諾料や、名義書換料を請求してきたとしても支払う必要はありません。

 

 

注意してもらいたい点としては、相続がされる借地権の契約期間についても、元の賃貸借契約のまま引き継がれるということです。

ということは、契約期間が20年で、15年が経過した時点で、借地人が亡くなった場合、相続されるのは5年の借地の契約です。

 

 

 

法定相続人が複数いて、借地権が複数人で相続される場合は、どうでしょうか。

この場合は借地権が細分化されてしまい、地主に不都合や不利益になることも考えられるため、承諾を得ておく方が良いでしょう。

 

 

法定相続人が、単独で相続する場合、は承諾料や名義書換料は支払わなくて良いのですが、

遺言があったりして、法定相続人以外の人が、借地権を相続するような場合は、借地権が譲渡された、と考えられるため、地主の承諾が必要になります。

 

 

この場合の流れとしては、地主に承諾を請求→地主が承諾→借地権上の建物の所有権移転登記、となります。

承諾料や名義書換料も求められるかもしれません。

 

 

もし地主から承諾が得られないような場合は、話がこじれる可能性が高いので、まずは弁護士に相談してみてください。

このような場合に、とれる手段としては、裁判所において、「地主の承諾に代わる許可の裁判」(借地借家法第19条)を起こすことです。

 

では逆に、地主さんが亡くなってしまった場合、借地権はどうなるでしょうか。

 

 

地主さんが亡くなると、借地権付きの土地が、地主さんの相続人に相続されます。

この際、地主としての法的地位も相続人に相続される、と考えます。

つまり、借地権契約はそのまま継続しますので、借地人の皆さまはご安心ください!

当然、地主の相続人は借地人に対して地代を請求できますので、借地人の方は地代も相続人の方に支払ってくださいね。

 

 

また、借地権の相続を受けたら、借地上の建物の登記を被相続人から相続人に移すことで、借地権自体の登記をする必要はありません。

 

 

借地上の建物の登記があれば、借地権を第三者に対抗できます(借地権者であることを主張できます。)。借地権の登記の代わりになる、ということですね(借地借家法10条1項、旧建物保護法1条)。

 

いかがでしたでしょうか。

借地権は場所によっては、かなり高額な価値のあるものになります。相続税のあたりも気になるところですし、相続の際に売却する、といったケースも考えられますし、論点がいろいろありそうです。

売却の際には承諾料を請求されたり、地代の値上げを要求されることもあります。

 

 

 

実は私の実家は、借地権付き建物なのですが、先代の地主さんと祖父が懇意にしていて、特別な契約内容を結んでいたところ、

先代が亡くなって、息子さんの代になったところ、これまでの地代分を上乗せした地代に変更したい、建て替えるのなら更新料2000万円を払え、という請求がされて困ったことがあります。

 

父が弁護士に相談したので事なきを得ましたが、このように借地権に関するトラブルは数多く存在すると考えられます。

 

そのような時はこちらの記事をご参考に、ぜひ弁護士にご相談くださいね。

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

 

相続財産の調査方法

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故人の遺言があればいいのですが、突然に亡くなられてしまった方など、

相続財産がどこに、いくらあるのか、見当がつかない場合があります。

 

 

相続財産、と聞いて、すぐに思いつくのは不動産や預貯金ですね。

あとは、自動車や貴金属類、目に見えるものなどでこの辺りはすぐに見つかるでしょうか。

 

 

その他にも、有価証券(例えば、株、国債、社債など)や、

ゴルフ会員権や、リゾートクラブの会員権、

事業をされていた方なら売掛金、年金受給者なら未収の年金や、未請求の高額療養費なども相続財産です。

 

 

また、これは珍しい例かもしれませんが、

故人が技術者であったりすると、特許権や実用新案権などをお持ちの場合もあります。

また、作家、作曲家などであれば著作権を持っていたり。これらも相続対象の財産です。

 

 

一方でマイナスの財産も、また相続対象となります。

例えば、ローン、借金などの債務、未納の税金、未払いの医療費や、

連帯保証人になっていればその地位も相続対象です。

 

 

 

以上は、個人から、どこに・いくらあるのかと聞いていればよいのですが、聞かされていなければ、調査が必要になってきます。

相続財産を調べるにはどうしたらよいでしょうか。

 

 

 

まずは、言葉が悪いですが、、、、、家探しをしましょう!

 

 

 

大事な書類は、金庫の引き出し、机の引き出し、本棚や仏壇などにしまわれていたりします。

あとは、パソコンの内容を確認できれば、メールや家計簿などからどんな資産があるか判明することがあります。

防犯対策で冷蔵庫や、植木鉢に大事な通帳や印鑑を隠していたりする例もあります。通帳がみつからなくても、金融機関のノベルティなどがあれば、その金融機関に口座を持っている可能性があります。

 

次は、郵便物のチェック。

 

金融機関からハガキや住所確認の封書が届いていませんか?役所から固定資産税の通知書が届いていたりしませんか?ローンの残高のお知らせも郵便で届いていたりします。

 

 

 

こうして、預貯金がありそうだという当たりをつけたら、残高証明書の発行を依頼します。

 

残高証明書とは、名義人が亡くなった時点での預貯金の口座残高を証明する書面です。これに記載された金額が相続される金額になります。

 

 

申請できるのは相続人などの相続権利者で、被相続人の死亡が確認できる書類と、申請者自身と被相続人の関係性がわかる戸籍謄本、申請者の実印・印鑑証明書、被相続人の通帳など(もしあれば)、などですので金融機関に念のため確認してください。手数料は金融機関によって金額が異なるので、問い合わせを行ってください。(例:三井住友銀行の場合、880円)

 

もし、保有している口座が全くわからない場合は、自宅近辺にある金融機関に口座がある可能性は高いと考えられますので、問い合わせてみると良いでしょう。

 

 

家探しをして、固定資産税の納税通知書が見つかりましたか?もしくは、ローンの残高通知書など、権利証や登記識別情報でもよいです。

 

 

不動産の存在の可能性があり、具体的な所在地がわかるなら法務局で不動産の登記事項証明書を取得しましょう。

登記事項証明書は最寄りの法務局で誰でも取得でき、1通600円です。

 

 

固定資産税関係の書類が出てきたら、その自治体(東京都の区民の場合は区の都税事務所)で、名寄帳(固定資産税課税台帳)を閲覧しましょう。

名寄帳では、その市区町村内にある個人所有の不動産がわかります。

 

必要書類は、

①申請書②本人確認書類(運転免許証など)③相続人であることがわかる戸籍謄本④被相続人の死亡の事実が確認できる除籍謄本の各原本です。

手数料は、都税事務所においてですが、所有者ごとに300円です。郵送で申請することもできます。

 

名寄帳を確認する上で注意するべき点は、あくまでも名寄帳は課税されている土地の台帳であるため、自宅前の私道などは登記されていないことがある点です。

もし被相続人の所有不動産の周辺に私道があったら、その部分の登記事項証明書も取得してみると、所有しているかどうか確認できます。

 

 

 

このように、手続きは手間がかかりますし、煩雑で難しいと考えられましたら、行政書士や司法書士などの助けを借りるのも良いかもしれませんね。

 

 

さて、今回はプラスの財産についてどのように調べるかばかりを書いてしまって、マイナスの財産については触れられませんでした。。こちらも重要です。

マイナスの財産の調査方法についても、いずれ書ければいいなと思います。

 

相続人の範囲について 相続人は誰?確認する方法

相続人とは、亡くなった人(被相続者)の遺産を相続する権利のある人のことを言います。

 

遺言執行人など、弁護士等の専門家が存在しているような相続案件の場合でしたら、その専門家が相続人を調査してくれますが、

たいていの場合、自分たちで相続人を確認しなければなりません。

だれが相続人に該当するのか、その調査が煩雑な場合があるので方法をご説明します。

 

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まずは法律で決まっている相続人について、

 

常に相続人になるのは、『配偶者』です。

配偶者とは、婚姻をしている相手のことです。

 

その次の相続人は、『子』です(第一順位)。子がすでに亡くなっている場合は、孫(代襲相続と言います。)、孫もすでに亡くなっている場合はひ孫が相続人になります(再代襲相続と言います。)。

また、もし養子がいれば、養子も実子と同じ相続人ということになります。

 

子がいない場合、亡くなった方の父母が相続人になります(第二順位)。父母が亡くなっている場合は祖父母が相続人になります。

亡くなった方が養子であった場合は、養親が相続人になります。

 

子も、生存している父母、祖父母もいない場合は、兄弟姉妹が相続人になります(第三順位)。兄弟姉妹が亡くなっている場合は甥・姪が代襲相続します。

 

上記の相続人の中でも、相続人になれない場合があります。

それは・・・あまりないことですが、被相続人の方を殺してしまったり、生前に被相続人に対して虐待などしてしまっていた場合です。これを相続欠格というそうです。

 

恐ろしいことですが、家族間でこのようなことがあった場合は、当然、被害者の方の財産を相続させるわけにはいかないですよね。当然といえば当然です。

 

 

さて、話を戻しますが、相続人の確定の仕方ですが、家族それぞれ仲が良く、だれが今どのように暮らしていて、何歳で、どこに住んでいるか、、、などが判明している場合は、上記の通りでしかないので簡単です。

 

 

確認が煩雑になってくるのは、配偶者がいない、子がいない、両親も亡くなっていて、兄弟姉妹と疎遠になってしまっている方です。

そのような方の場合、一番近しくしていた親族が相続人を調査しなければならなくなってきます。

私も仕事上で、実際にそういうケースを何度も見てきました。

 

相続人を確認するには、亡くなった方の一生分の戸籍を確認する必要があります。

亡くなった方の死亡事項の記載がある戸籍(除籍謄本)だけでは、相続人が誰なのかわからないのです。

戸籍は、転籍や法改正、結婚などでその都度新しく作られ、その際は、旧情報の戸籍は新しい戸籍に引き継がれず、相続人全員の確認ができないためなのです。

 

ですので、相続関係を証明するめには、亡くなった方の一生分の戸籍をさかのぼり順番に取得する必要があります。

具体的には、

最後の戸籍の戸籍事項を見ます。改製により作成された戸籍の場合は改製原戸籍を取得します。結婚により作成された戸籍の場合は、従前戸籍の欄を見て結婚前の戸籍を取得します。

これを繰り返して、出生したときの戸籍まですべて取得します。

こうして、他に相続人が本当にいないのか、ということを確認していきます。

 

一生分の戸籍を見ないと、離婚した元の夫や妻のところに、子がいたりすることもあるので抜かりなく行う必要があります。

 

兄弟姉妹が相続人になる場合は、両親の戸籍もさかのぼって取得し、他に兄弟姉妹がいないこと(両親にほかに子がいないこと)を証明しなければなりません。

 

併せて、相続人の現在の戸籍を取得して、相続開始時点で生存していて、相続の権利を持っているということを確認することも必要です。

 

相続人を確定する作業は、とても大変ですし、これまで戸籍になじみがない方にとっては、戸惑うことかもしれません。

 

戸籍は、相続人であれば役所で被相続人との関係性を証明すれば取得できますし、弁護士など専門家に依頼すると職務権限で取得することができます。

 

おすすめはご自身でできるだけ頑張って戸籍を収集して、最後のチェックを弁護士や司法書士にしてもらう方法です。

そうすると、専門家も手間が省かれるので相談料が安く済みます。

 

今回も最後までお読みいただきましてありがとうございました。

こちらのブログに書いたことはご参考までに、詳細は弁護士等にご相談することをお勧めいたします。

 

 

 

そもそも相続とは?

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不動産と相続に関係するいろいろなお話をさせていただいてきましたが、

 

 

今回はそもそも相続とは何なのか、

どのような時に、だれが相続に関係することになるのか、という基本的なことを書いていきたいと思います。

 

相続は、どなたかが亡くなると必ず発生することなので、だれでも当事者となる可能性があります。

 

 

そもそも相続とは、『遺産相続』のことで、亡くなった方の財産を引き継ぐ手続きのことです。

亡くなった方が遺言書を残している場合は、原則として遺言の内容に従って相続を行います。

遺言がない場合は、相続人全員で遺産分割協議を行い、財産の分け方を決め、決まった内容に従って、名義変更等の手続きをします。遺言がない場合は、相続員全員がそれぞれの相続について、手続きを行う必要があります。

 

財産とは現預金、有価証券、不動産、車等の資産にかぎらず、借金、ローン、医療費の未払金などの負債も含まれることに注意していてください。

 

また、相続の手続きは期限があるものが多いので、「いつまでに」「何をすべきか」を確認して、相続税がかかるかどうかを見極めましょう!

ですので、こちらのブログで下調べをして、行動に移してください。

 

 

相続の開始は亡くなった方(被相続人)が死亡した日です。

 

まずは、四十九日くらいまでに、だれが相続人か、遺言があるかないかの確認、どんな財産があるか、をチェックしておきましょう。

被相続人の死亡の記載がある除籍謄本も忘れずに。

 

もし負債(借金等)が財産の大半を占めるようであれば、通常は、『相続放棄』をします。相続放棄をすると、資産も負債もいっさい相続しません。

相続放棄は、「相続があることを知った日」から3か月以内にしなければなりません。

期限を過ぎると、負債の相続もしなくてはならないので、ここは本当にご注意ください!

 

次に4か月以内くらいを目途に、被相続人が事業を行っていると所得税の確定のために『準確定申告』の必要がありますし、『遺産分割協議』をして、『遺産を相続』します。具体的な相続の方法はまた別途のお話にすることにして、相続の手続きを無事に終えたら、『相続税申告』の準備まで行っておきましょう。

 

相続税の申告が不要の場合は、ここまでで手続きはおしまいです。

 

大事なのはこのあと。

被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内に『相続税の申告書を提出』します。期限を1日でも過ぎると、相続税のほかにペナルティとしても延滞税が課せられてしまいますので注意してください!

 

このあと、被相続人が亡くなったことを知った日から1年以内に『遺留分の減殺請求』、

2~3年後に税務調査があり、申告漏れがあれば追徴課税されます。3年10か月以内が『相続税の特例適用のための分割期限』になります。

 

以上が、遺産相続のスケジュールです。

 

やるべきことの全体と、時期がわかるとホッとしませんか?

 

ひとつひとつの作業は煩雑であったり、専門家の知識を借りた方が良かったりするものもありますが、まずは何をすべきなのか、それを把握しておきましょう。

 

2019年に改正された民法では、遺族のうち配偶者(妻・夫)の『配偶者居住権』を新設しました。残された配偶者が遺産分割の際に、居住権を選択すれば、その配偶者が死亡するまで自宅に住むことができるようになりました。

また、結婚20年以上の夫婦の場合、生前贈与や遺言によって配偶者が居住用不動産(土地・建物)を譲り受けたときは、遺産分割の対象から除外し、配偶者の生活の安定をはかることができる制度も始まりました。

 

このように相続は、近時では法改正があったり、お金が絡んだりと、いろいろと不安に思われる点が多いと思いますので、適宜専門家には相談できるよう、その手配もしておいた方が安心です。

 

 

今回も最後までお読みいただきましてありがとうございました。

こちらのブログに書いたことはご参考までに、詳細はぜひ弁護士等にご相談することをお勧めいたします。

 

相続物件に価値のない山林があった場合は相続を放棄できる?

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こんにちは!estate_diaryです。

親世代が農業を営んでいたご家庭の場合、相続の際に山林を受け継ぐことがあります。都市部から離れた山林は買い手がつかず、毎年の固定資産税の分だけ損をしてしまう人も多いでしょう。

それでは、最初から相続しないことはできるのでしょうか。

今回は、価値のない山林の相続についてご紹介します。

山林の相続とは

相続とは「亡くなった人の財産を引き継ぐこと」です。

被相続人(亡くなった人)の財産に山林が含まれていた場合は、亡くなった人の所有権を引き継いで山林の新たな所有者になります。

山林を相続する例は、「元農家の人がかつて使っていた農地をそのまま保有していた」というのが典型例です。

ほかにも、所有していた土地が価格の暴落によって売れなくなってしまった「バブルの負の遺産」といった例もあります。

親が山林を所有していた場合、子供は原則として山林を相続します。相続人が複数いた場合は、誰が山林を相続するのか遺産分割協議を行うことが必要です。

話し合いが合意するまでは、相続人全員の「共有」とされます。

山林相続のメリット・デメリット

広大な山林を相続することに不安を感じる人も多いですが、なにもデメリットだけではありません。

山林相続のメリット・デメリットを紹介します。

メリット

山林の場所にもよりますが、有用な場所であれば林業を行っている業者などに貸し出すことで利益を得られる可能性があります。

拓けた広大な山林であれば、太陽光発電の機材を設置することもできるでしょう。日当たりのよい斜面にソーラーパネルを設置することで、都市部よりも効率的に発電できる可能性があります。

もし金銭的なメリットがなかったとしても、キャンプ場やハイキングなどの場として提供することで地域貢献にも繋がります。

デメリット

都市部から遠い山林は、売却先が少ないことが何よりのデメリットです。坪単価は都市部の土地と比べて圧倒的に低いことが多く、売却で利益を出すことは簡単ではありません。

かといって、まったく放置することもできません。

山林を放置するとどんどん荒れて利用価値が下がっていくため、自分で管理ができない場合は現役で農業などをやっている人や管理業者に管理を依頼することになります。

また、山林と言えども固定資産税が毎年発生します。相続する面積によっては家計を圧迫することもあるでしょう。

価値のある土地だけを相続することはできない

農業や林業をしていない人にとってはメリットよりも、デメリットの方が大きいことが大きいと感じるのではないでしょうか。

「できれば相続したくない・・・」と考えるのが自然かもしれません。

その場合、頭をよぎるのは「相続放棄」です。

結論をいうと「山林を相続しない選択肢」はあります。

ただし、価値のない財産だけを都合よく相続することはできません。

被相続人の財産を相続する場合、原則として価値のある財産もない財産も全てを相続することになります。

相続放棄を行えば相続しないことは可能ですが、最初から相続人でなかったものとされるため、資産価値がある土地や現金まで相続放棄しなくてはいけません。

誰かが山林を引き継ぐことになる

現金の預金や価値の高い不動産(自宅など)がある以上、全員が相続放棄することは現実的ではないでしょう。

誰かがその価値ある財産を相続することになります。つまり、相続人が何人いたとしても、誰かが価値のない財産である山林を相続するわけです。

また、価値のない土地だとしても、相続上の手続き(登記など)は絶対に必要になります。

山林相続の相続税

相続税は山林だけに限った話ではありません。遺産相続によって相続税が発生するため、税務署への申告が必要です。

相続税の申告と納税は、相続開始から10ヶ月以内に完了する必要があります。完了しない場合、無申告として追徴課税の対象です。

まとめ

今回は、山林の相続の概要について解説しました。

価値のない山林でも誰かが相続しなければならず、場合によっては固定資産税に苦しむことになります。

親世代が元気なうちから、土地の活用方法・処分方法について話し合いを進めることをおすすめします。

 

不動産などの相続財産は養子縁組の子でも相続できる?

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こんにちは!estate_diaryです。

今回の話題は「養子縁組」についてです。

相続税対策に養子を持つという話を聞いたことがありませんか?

たしかに有効ですが、際限なく養子を作っても意味がありません。

今回は、相続と養子の関係について解説します。

養子縁組とは

養子とは、養子縁組が成立した日から養親の嫡出子としての身分を取得することです。養子であっても、立場としては実子と何ら変わりはありません。

また、ひと口に養子といっても、普通養子と特別養子の2つがあります。

普通養子

養子縁組をして親子になる意思があれば成立する養子のことです。いわゆる「婿養子」や、孫を養子にする場合が該当します。

普通養子は実の親との関係はそのまま、実親と養親の2つの親子関係が成立します。

特別養子

特別養子とは、実親との親子関係を解消して養親と実の親子の関係を結ぶことです。

養親になることを望んだ夫婦が家庭裁判所に請求するため、家庭裁判所が許可すれば親子になります。

子供が虐待されていた事実や実親の経済的な困窮で育てられないといった理由があった場合に、子供の福祉の増進を目的に使われる制度です。

養子と実子の違い

実の子供から見れば、養子の方が相続で有利になると考えてしまうものです。

しかし、相続上は実子も養子も同じ順位の関係です。養子だから相続で不利になるということはないのです。

遺言等によって養子より実子の取り分が著しく多かったとしても、遺留分が認められます。

養子が相続人になる時の注意点

権利上は実子と同じ養子ですが、相続に参加するうえでは注意点があります。

養子の数には制限がある

相続には、誰でも適用できる基礎控除があります。計算式は以下のとおりです。

3,000万円+600万円×相続人の人数

養子の数が増えるほど、基礎控除は大きくなります。

しかし、養子を無条件に相続人として認めてしまうと、相続対策で養子を何人も作る人が出てくるかも知れません。

そこで、相続人としてカウントできる人数には制限があります。

実子がいない場合相続人にカウントできる養子は2人まで、実子がいる場合は1人までです。

実子ともめる可能性

養子縁組が成立していれば、実子と同じように相続する権利があります。

実子が養子縁組の存在を知らなかった場合、実子が納得できずにトラブルに発展する恐れがあります。

養子縁組をしようと考えた時は、実子が納得した上で行うことが必要です。

養子が養親より先に死亡した場合

実子が親よりも先に亡くなった場合、実子の子供(被相続人から見て孫)は代襲相続の対象です。

一方で養子の場合、養子の子供が代襲相続人になれないケースがあります。

養子縁組のあとで生まれた養子の子は代襲相続人になれますが、養子縁組の前に生まれた養子の子は、代襲相続人にはなれません。

代襲相続が発生した際に勘違いしやすいため、気を付けておきましょう。

養子縁組のメリット

養子は相続人にカウントされるため、前述のとおり基礎控除額が増えます。

そのほか、死亡保険金や生命保険の非課税枠が増える点もメリットです。

死亡退職金・生命保険の非課税枠は「500万円×相続人の数」と決められていますが、養子がいれば非課税枠が増大して節税になります。

相続人が増えれば1人当たりの取り分が減ってトラブルの種になる可能性はありますが、それでも養子になる人が増えれば節税につながるのは事実です。

養子の候補がいた場合は、じっくり家族で考えてみることをおすすめします。

まとめ

今回は、相続と養子の関係について解説しました。

養子と実子の間に権利の差はないため、養子がいれば相続税の圧縮に役立ちます。しかし、1人の取り分が減れば争いになることも考えておく必要があります。

安易に養子を迎えることがないよう、家族で話し合いましょう。

内縁の妻・夫は相続に参加できない?不動産や現金を渡す方法とは

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こんにちは!estate_diaryです。

今回は、いわゆる「内縁の妻・夫」のお話です。

正式に婚姻関係を結んでいない間柄でも、相続が成立するのでしょうか。

内縁の妻・夫に財産が渡るようにするには、どうすればいいのでしょうか。

内縁とは

内縁とは、事実上の婚姻関係にあることです。婚姻届けは未提出のため法律上では配偶者とは認められません。

つまり、配偶者に認められている税金や保険などの優遇を受けることができなくなるということです。

内縁関係には相続権がない

内縁の妻・夫には、すでに紹介したように相続する権利がありません。

長年にわたって実質的な夫婦の関係があったとしても、婚姻届けを出していない以上は相続する権利はないわけです。

法律で権利として認められていない以上、裁判所に訴えたとしても認められることはありません。

内縁の人が相続できる方法

内縁の関係であっても、絶対に相続ができないわけではありません。ここでは、内縁の関係者に財産を渡すための方法をご紹介します。

生前贈与

1つ目の方法は、生前に贈与してしまうことです。贈与は相続とは全く異なる制度のため、内縁の人はもちろん、全くの他人であっても贈与することができます。

内縁のパートナーが死亡した後も、贈与された財産は当然に使用することが可能です。

遺言の作成

もう1つの方法としては、遺言書を作成しておくことが挙げられます。

遺言書がない場合、財産を相続できるのは「法定相続人」のみですが、遺言書を作っておけば、法定相続人以外の人に財産を渡すことも可能です。

遺言で「財産の〇%を内縁の者に遺贈する」等と記載しておけば、財産を受け取る権利があります。

ただし「遺留分減殺請求」が起こるかもしれない点は注意が必要です。

「全ての財産を内縁の関係者に渡す」といった内容の場合、本来の相続人の最低限の取り分(遺留分)を侵害しているために遺留分を支払うように請求を受ける可能性があります。

特別縁故者として相続できる場合も

亡くなった人に法定相続人が1人もいない場合、亡くなった被相続人の世話をしていた人が相続人になれる「特別縁故者」という制度があります。

しかし、実際に特別縁故者になれるかは家庭裁判所の判断次第のため、どうなるかは不透明です。

確実性を増すためには、遺贈・遺言等の方法で明確な被相続人の意思を残しておくことが大切です。

内縁の相続の注意点

遺言や生前贈与なしでは内縁の人に財産が渡らないのはすでにご紹介した通りです。これ以外にも、内縁者の相続には注意しておくべき点があります。

代表的な注意点を解説します。

配偶者の税額軽減が使えない

婚姻届けを提出した正式な配偶者の場合、財産を相続しても最低1億6千万円までは相続税がかからない特例があります。これが「配偶者の税額軽減」です。

婚姻届けを出した配偶者のみが受けられる特例のため、内縁の妻・夫が亡くなっても配偶者の税額軽減を受けることができません。

利用できるかどうかで大幅に相続税が軽減されるため、適用したい場合は婚姻届けを出すことを検討しなければいけません。

小規模宅地等の特例が使えない

小規模宅地の特例とは、相続した家に引き続き住み続ける場合には土地の評価額を最大で80%減額することができる制度です。

評価額5,000万円の土地でも1,000万円まで引き下げることができるため、相続税も大きく引き下げられます。

この特例を適用できるのは「親族だけ」のため、婚姻届けを出していないパートナーは適用できません。

まとめ

今回は、内縁の妻・夫のパートナーが亡くなった時の相続について解説しました。

婚姻関係を結んでいない以上は、原則としては遺産を受け継ぐことはできません。遺言や生前贈与を活用し、パートナーに財産がいきわたるように準備を進めましょう。

不動産を相続したら活用するべし|3,000万円の特別控除とは

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こんにちは!estate_diaryです。

今回は家屋を売却する時に利用できる3,000万円の特別控除についてです。

現在では税制改正により、相続した空き家を売却する際にも適用ができるようになっています。

相続税を大きく減らすことができる特例について、解説します。

不動産を売却すると税金が発生する

不動産の売却した場合、所得税と住民税が発生します。

2つの税金はいずれも利益が出た時に課税されるものです。

考え方としては、「買った時の金額と売った時の金額を比べて」利益が出ていれば課税と考えると簡単でしょう。

税金が発生する場合、譲渡所得に税率をかけて計算されます。計算式は以下のとおりです。

税金=譲渡所得×税率

上記の「税率」は、不動産の所有期間によって異なります。

1月1日において所有期間が5年超の場合は、長期譲渡所得となり、5年以下の場合は短期譲渡所得になります。

短期譲渡所得は所得税率は30%・住民税は9%ですが、これが長期譲渡所得に該当すれば所得税は15%・住民税は5%と大きな節税につながります。

居住用財産の3,000万円控除とは

売却する不動産が持ち主の自宅であった場合、3,000万円の特別控除という特例を使うことができます。

自宅として使っていた不動産を売却した時にしか使えないため、アパートや投資用マンションでは利用できません。

適用条件

自分が住んでいた家屋を売る、もしくは家屋とともに敷地を売ることが前提です。

家屋を取り壊した場合は、譲渡契約までの間に土地を賃貸などに利用した場合は適用できません。

また、売り手と買い手が親子などの特別な間柄ではないことが必要です。

 

すでに転居している場合は、転居後の3年目の年末までの売却であることが必要です。

家屋の取り壊しを行った場合は、取り壊しから1年以内に売却する必要があります。

このほかにも適用条件は細かく指定されているため、詳しくは国税庁のHPでご確認下さい。

 

相続空き家の3,000万円控除とは

平成27年の税制改正によって、相続後に空き家になった自宅を売却しても3,000万円の特別控除が使えるようになりました。

譲渡所得を計算する時に、以下のように3,000万円を控除することができます。

 

譲渡所得=譲渡価額-取得価額-譲渡費用-3,000万円

 

この時点で譲渡所得が0円になれば税金は発生しません。

ただし、適用されるにはいくつかの条件があります。

適用条件

相続空き家の特例に関しては、適用条件が細かく指定されています。

まず、昭和56年5月31日以前に建てられた建物であることが大前提です。それ以降の住宅の場合は適用できません。

上記の条件以外にも一定の耐震条件を満たさないと適用されないため、耐震リフォームをしてから売却する必要があります。

売却代金が1億円を超えると適用できないなど、条件が多岐に渡るため、必ず専門家に相談することをおすすめします。

老人ホームに入居していた場合

要件の1つに「相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋であること」とありますが、被相続人が老人ホームに入居していた場合はどうなるのでしょうか。適用される条件の一部を解説します。

  • 被相続人が要介護認定されて相続開始の直前まで老人ホーム等に入所していること
  • 入所から相続開始の直前まで被相続人について一定の使用があり貸付けや事業用等に利用されていないこと

このような条件が満たされることで、老人ホームにいた場合でも特例が適用される可能性があります。

まとめ

今回は、居住用財産を売却した際の3,000万円の特例を2つご紹介しました。

いずれの特例も条件が複雑で、見落としていると特例が受けられない可能性があります。

利用したい場合は、税理士などの専門家にサポートを依頼するのがおすすめです。

相続した土地の一部放棄はできない!相続放棄の基本を解説

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こんにちは!estate_diaryです。

 

今回は、相続した土地の一部放棄ができるか否かというお話です。

相続財産に価値が低い不動産などが含まれている場合、「一部の不要な財産は放棄できないか?」と考えることがあるかもしれません。

相続財産を一部だけ放棄することはできないのでしょうか。

今回は、相続の手続き方法について解説します。

 

相続のやりかたは3種類

ひと口に「相続」といっても、その方法は1つではありません。

人によっては「財産ばかりでラッキー」と思うこともあれば、「借金しか残っていなくて、そのまま相続したら生活できない」というケースも考えられます。

その場合は「相続自体を放棄する」「借金の分だけプラスの財産を取得する」といった方法も可能です。

以下の3つの相続方法を詳しく見ていきましょう。

  • 単純承認
  • 限定承認
  • 相続放棄

単純承認

単純承認とは、現金や不動産などのプラスの財産と、借金などのマイナスの財産を全て引きつぐ相続方法です。

相続した債務は、相続人が返済する必要があります。

限定承認や相続放棄の手続きを被相続人の死亡から3ヶ月以内にとらない時は、自動的に単純承認したものとみなされる点が注意が必要です。

 

限定承認

限定承認は、現金や不動産などのプラスの財産の範囲内でマイナスの財産を引き継ぐことです。

債務がプラスの財産を上回っている場合、単純相続した場合は借金を自分の資産から支払わなければいけません。

限定承認であれば、マイナスの資産の額をプラスの範囲内に収めることが可能です。

ただし、被相続人の死亡から3ヶ月以内に家庭裁判所に手続きする必要があります。

 

相続放棄

相続放棄とは、プラスの財産もマイナスの財産も両方を放棄することです。

相続人の1人が相続放棄した場合、同順位の人がプラスとマイナスの財産を受け継ぐことになります。

同順位に相続人が残っていない場合は、次の順位の人に引き継がれる点に注意が必要です。

相続放棄したからといって、債務そのものが無くなることはありません。債務を引き継いだ人との間にトラブルが発生することも考えておく必要があります。

 

要らない不動産だけを相続放棄することはできない

もしも相続財産の一部が「遠く離れたお腹の農地」のように不要なものであった場合、その財産だけを相続しないということはできるのでしょうか?

結論から言うと、プラスの財産の一部放棄はできません。

相続を放棄する方法として有力なのは「相続放棄」ですが、これは最初から相続人でなかったことになる方法です。

プラスの財産もマイナスの財産もすべて放棄する必要があります。

「一部だけ相続すること」も「一部だけ放棄すること」もできません。

 

限定承認でも一部の相続放棄はできない

限定承認であれば、マイナスの財産の一部について放棄することが可能です。

例えば、500万円の借金と100万円の貴金属が財産として残った時を想定してみましょう。債権者に100万円を返済することで、貴金属を相続することができます。

しかし、プラスの財産である不動産を、一部だけ放棄するような利用の仕方はできません。

 

所有する土地が共有財産の場合

不動産を複数の人が共有で所有している場合、共有者の1人が共有持ち分を放棄することは可能です。

放棄した共有持ち分は、他の共有者に帰属することになります。

なお、単独所有の土地の所有権の放棄は原則としてできません。

寄付をしようとした場合も、利用価値の低い土地は自治体に受け入れてもらえなないことは知っておきましょう。

 

まとめ

今回は、相続財産の一部放棄ができるかについて解説しました。

「Aの土地は欲しいけど、Bの土地は要らないから放棄したい」といった都合のいい相続方法はないということを理解しておきましょう。

相続後に自治体に寄付できる可能性もありますが、価値がない土地の場合は寄付を断れることも十分にあり得ます。

相続した不動産の共有はNG?デメリットと注意点を解説

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こんにちは!estate_diaryです。

 

今回は、相続した不動産を共有の状態にしておくことが良いのか、悪いのかについての解説です。

相続人が複数いる場合に、遺産をキレイに分割できないことがあります。

そんな時は、相続人全員で共有する形での相続が可能です。

ただし、共有の状態は望ましいものでないことが多いのも事実です。

今回は、相続における共有について解説します。

 

共有とは

共有とは、相続した土地を兄弟などで一緒に所有することです。

相続した土地や不動産が1つだけだった場合など、財産を分割することが難しい場合にできます。

相続した不動産を共有することで、全員で1つの不動産を所有することが可能です。

注意点としては、共有持ち分はあくまでも「権利上のもの」であるということです。物理的に分け合っているわけではありません。

土地を2人で共有しているケースで、北側がAさん、南側がBさんが持っていると物理的に分割されていると考えるのはよくある勘違いです。

 

相続不動産を共有にするメリット・デメリット

相続の共有にはメリットのほかに、いくつものデメリットがあります。

共有のメリット・デメリットを紹介します。

 

メリット:節税効果

居住用の住宅の売却に際しては、さまざまな税制特例を受けることが可能です。

例えば「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」が使えれば、売却益のうち3,000万円が非課税です。

共有不動産を売却では、共有者それぞれが特例を利用することができます。

1人が相続して売却するのに比べて節税のメリットが大きいのです。

 

デメリット:処分に同意が必要

不動産を共有にする場合、持分によって1人でできること、できないことが変わってきます。

例えば「土地を不法に占有している人」への明け渡し要求

これは「保存行為」とされ、各共有者が単独で行うことができます。

一方、不動産を第三者に賃貸する行為「管理行為」と呼ばれ、共有者の持分価格の過半数の同意が必要です。

不動産の売却は「変更行為」とされて、共有者全員の同意が必要です。

共有者が1人でも反対する限り、不動産を売却することができなくなるのです。

 

デメリット:登記のし直しが必要

共有持ち分のみを相続した時、単独所有と同様に名義変更をする必要があります。

登記をやったことがない一般の人には手続きが大変に感じるでしょう。

司法書士に頼むことができますが、コストが発生します。

不動産を共有で登記する場合、持分割合や共有者が変更になる度に登記をする必要があるのがネックになります。

 

デメリット:トラブルにつながる

許攸関係を解消して単独所有にするため、共有者全員で遺産分割協議をする必要があります。

協議の参加に非協力的な持分所有者がいる場合、話し合いが難航することになります。

親世代の関係が円満でも、子供世代は円満であるとは限りません。

共有関係は早いうちに解消しておくことで、遺言書を作成して将来的に揉めないようにすることが大切です。

 

共有以外の選択肢

共有者間でのトラブルを回避するために、遺産分割協議を開いて専門家のアドバイスを参考に遺産の分配方法を決めることが大切です。

共有以外の遺産分割の選択肢を紹介します。

 

現物分割

不動産はAさんが相続、現金はBさんが相続といったように、相続した財産をそのままの形で受け取ることです。

それぞれの相続人が単独で所有する点で共有と異なります。

ただし、相続の財産によっては相続人の間で公平に分けられない点がデメリットです。

 

代償分割

誰か1人が不動産を相続し、不動産を相続していない人に一定の現金を支払う方法です。

「不動産を相続したい」と考えている人と「現金を相続したい」と考えている人がそれぞれいる場合に有効な方法になります。

しかし、不動産を相続した人が代償として支払う現金は相続人自身の財産です。

相続人に現金がないと成立しない点が問題になります。

 

換価分割

不動産を売却してお金に換えて、現金を分割する方法です。

被相続人が遺してくれた財産を手放すことや、財産の売却に手間と費用がかかることがデメリットです。

 

まとめ

今回は、相続不動産の共有の問題点を解説しました。

共有者間でトラブルがあった場合、売却も賃貸もできなくなる可能性があります。

共有状態はできるだけ早く解消し、子供たちにトラブルを残さないようにするのが大切です。

農地を相続したら知っておきたい、農地法のこと|農地法第5条とは?

 

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こんにちは!estate_diaryです。
 

 数回にわたりお話ししている農地法のお話ですが、ひとまず今回で最終回!

農地法第5条についてです。

相続した農地の売却を考えている場合は、買主が用途変更を希望しているケースも考えられてます。

そんなケースで登場するのが、農地法第5条です。

農地の売却を検討している方は、参考になさってください!

 

農地法とは?

毎回お話ししておりますが、農地法とは、国民の食糧を確保するうえで欠かせない農地を将来に渡って保護するための法律です。

国土の狭い日本では、農地は大切な資源です。

そこで国は、無秩序な用途変更や非効率な耕作から農地を守るために農地法を制定しました。

 

第2章(第3条~第15条)に「権利移転及び転用の制限等」という項目が規定されています。

この項目には、売買を含む譲渡や賃貸を行う場合の許可や届け出について必要なことが規定されています。

 

今回の記事では、第5条を取り上げていきます。

 

第5条の内容とは?

農地法第5条は、権利の変動を伴う用途変更を行う際に必要な申請です。

大まかな内容は第4条の用途変更と同じですが、以下の違いがあります。

 

  1. 当該農地の権利に変動(譲渡や売買、賃貸契約)があること
  2. 用途変更工事を譲受人(もらった人や買った人、借りた人など)が行う(発注する)こと

 

 なお、権利が変動する前に用途変更を行い登記簿上の地目変更を完了した農地は、地目変更によって農地ではなくなります。

地目が農地でなくなった後の土地は農業委員会の管轄から離れ、利用や処分を自由に行えるようになります。

 

第5条申請から地目変更までの流れ

第5条申請は、権利の変動を伴う用途変更手続きです。

売買を例に流れを確認しましょう。 

  1. 売主・買主が売買内容に同意し、契約が成立する
  2. 売主・買主の連名で、申請書を作成する(連名ではあるが、用途変更後どのように使用するかなど、ほとんどの書類を買主側が用意します)
  3. 農業委員会へ提出し、必要に応じで都道府県が許可を出す
  4. 許可書を基に、売買代金の決済及び名義変更手続きを行う
  5. 買主は申請書の内容通りに整地・使用し、現況が農地ではなくなったことを農業委員会へ報告する
  6. 一定期間経過後も現況が申請書通りに使用されていることが認められれば、はれて登記簿の地目変更ができます

 

 ここで注意して欲しいのが、4.以降の内容です。

農地法第5条申請は、許可や届け出だけでは地目変更ができません。

許可などが下りた後に利用状況報告が必要で、これを怠ると、いつまで経っても農地のままです。

第5条の申請では、添付書類として「どのように整地するか」「どのように利用するか」を細かく提示します。

 農業委員会や都道府県は許可などを出した後、当該農地が申請通りに整地・利用されていることをちゃんと確認するのです。

登記簿上の地目を早く変更したい場合は、利用状況報告を速やかに行ってください!

ちなみに農地転用許可が下りたにもかかわらず、利用状況報告をせずに放置された農地も稀に存在します。

放置期間の長さによっては、再申請を求められることもあるのでご注意ください。

 

プラスアルファの知識

【現況と登記簿上の地目が異なる場合】

上記例と関連しますが、登記簿上の地目が農地でありながら、現況が宅地や雑種地になっているケースがあります。

過去に農地転用申請が行われた上記のような土地に見られるケースです。

このような土地で所有権移転登記をする場合は、所有権の前に地目変更の登記が必要です。

地目は登記簿の「甲区」(所在地や面積、区分などを表記した項目)の記載事項で、その登記申請は土地家屋調査士の独占業務です。

上記のような土地の譲渡や売買を行う場合は、決済の前に土地家屋調査士へ相談しましょう。

なお、土地家屋調査士に上記のような事情の地目変更を依頼する際は「農地転用受理通知書」の添付で対応してもらうことも可能です。